あすかとおにぎり(08/05) ページ45
遠くに鳴る雷の音。
隣にいる櫻井さんの気配。
櫻井さんがふう、と息を吐く
「そんな一人で無理すんなよ」
「……」
「もっと頼ってくれていいし、もっと感情を剥き出しにしてもいいよ、相談もしてよ」
「……うん」
「それと……今雷に怯えてる状態をいい機会に言わせてもらって申し訳無いけど」
「……」
「松本くんとラインでのやり取り勝手に見てごめん」
あ、見たんだ。
だからノックもせずにあの部屋を開けたんだ。
そっか。
「私なに書いてた……？」
「……俺といい感じなことを言い訳したいって書いてた。で、部屋で待ち合わせしてることを知ってちょっと慌てた」
「……」
「松本くんがホントのこと知ってるのに混乱するかもしれないこと忘れてた、ダミーのこと話すなら他の人に聞かれない場所じゃないとってことだったんだよね」
「うん」
雷の音。
少しビクッとしたら、櫻井さんが私の手をぎゅ、と握った。
「冷たい手」
「うん」
「……勘違いしてヤキモチ焼いて……ダミーの自覚持てとか……嫌な言い方した」
櫻井さんと繋いだ手を見下ろす。
キレイな手。
「……」
「誰よりもダミーの自覚がなかったのは俺の方だったのにね」
「……」
「Aはずっと完璧だったよ、勝手にダミー以上のことを求めて期待してたのは俺の方だったよね」
「……そんなこと……」
「Aは最初から俺のことなんてちっとも興味を抱いてなかったのにさ」
櫻井さんの声が無機質なものに変わって横顔を見る。
遠くを見る目。
その目は何も見ていない。
「……俺の中の鬼が暴れだす前に……ここから出ていくほうがいいかもね」
ピカッと空を光が引き裂いた。
「……やっ！」
私が耳を押さえて小さくなったら、櫻井さんがスッと立ち上がる。
「どこいくの？」
「……俺、Aの弱みに付け込んで何するかわかんないから部屋に戻る」
「やだ、ここに居て？」
「何言ってんの、馬鹿」
「……やだ」
「俺今言っただろ、Aの弱みに付け込むってどういう意味かわかってる？それとも俺のこと揶揄ってんの？」
涙がこみ上げてきた。
こんなセリフを言わせたのは私だ。
ずっとあすかとおにぎりのままだったなら、こんな風にならなかったのに。
「あすかさん……」
櫻井さんが、絶句した。
少し経って、はは、と吐息だけで笑う。
「あすかって呼ばれると何も言えない」
「……」
「おにぎりの頼みならちょっと断れない、俺おにぎり大好きだもん」
櫻井さんが私の頭をワシワシした。
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ちゃぼたん(プロフ) - 毎度楽しく読ませてもらってます。相葉さんの友達の社長、ってだけだととても怪しく感じるのに、その友達の名前が風間と言うだけで絶対的な安心感しかないですね(笑)しょーさんとおにぎりちゃんどうなるのかなぁ。次も楽しみにしてますね！ (2021年8月2日 18時) (
レス) id: 3a5d537559 (このIDを非表示/違反報告)
赤栗鼠(プロフ) - 更新ありがとうございます。何でこんなに行き違っちゃうの？胃がキューってなる切なさです>д< おにぎりちゃん出てっちゃうのかなぁ、、。続きが楽しみです。 (2021年8月2日 17時) (レス) id: c9ec236d7a (このIDを非表示/違反報告)
せいこ(プロフ) - 更新ありがとうございます。毎回楽しみにしてます。翔さんと2人、絶対相性良いと思うので、どうかお互い素直になってゆっくり言葉交わして欲しいって思います。まだまだ楽しみなので待ってます！ (2021年8月2日 15時) (レス) id: 40a9623dcc (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - わーい！翔さんの独占欲出たー！続きが楽しみです！！ (2021年8月2日 9時) (レス) id: 0a1a6bc318 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 朝から幸せ！仕事前に読めましたー！風間社長の登場に更にテンションも上がりました。雅紀君良かったね♪おにぎりちゃん就職先も決まってしまった……カウントダウンが始まってるのかな……嫌だな早く素直になってぇー！翔さん早く伝えてぇー！ (2021年8月2日 9時) (レス) id: b75159ca86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月16日 10時
