初恋の人と訳あり独身 ページ41
泣き続けてる馨子ちゃんの横に圭吾さんがしゃがんだ。
馨子ちゃんの頭をぽんぽんと撫でる。
「なぁ、馨子、言ってやれよ、ずっと翔くんが好きだったんだから盗らないでって。翔くんだって馨子が傷つくことなんて見たくないはずだからさ」
「……」
「この人に諦めてもらったら、それで全部うまく行くでしょ、翔くんだって馨子の側にいたらきっと絶対好きになってくれる」
「……圭吾く……」
「だってお前、すげーいい女なんだから。こんな知らない女に負けんなよ……翔くんと幸せになれよ馨子……」
「……」
「なんのために俺……」
「……」
「圭吾さん？」
私が呼びかけたら圭吾さんはキラキラ水分を含んだ瞳で私を見上げた。
きれいな瞳。
「私は、馨子ちゃんから、櫻井さんのことは兄のように想ってる、と聞きました」
「……だからそれは」
「私が聞く限り、初恋の人を今でもずっと忘れられないみたいでした」
「……は？嘘だ」
「いいえ。今の馨子ちゃんの姿がその証明ですよね、わかりますよね圭吾さん」
圭吾さんが馨子ちゃんを見下ろした。
「嘘だろお前」
馨子ちゃんが、ひーん、って小さい子みたいに泣きじゃくってて、抱きしめたいのをぐっと我慢する。頑張れ馨子ちゃん。
「馨子ちゃんの気持ちは馨子ちゃんのものですから、私はこれ以上何も言いません、ですが」
「……」
「馨子ちゃんが櫻井さんと結婚しなければ倍くらい年の離れた婚約者候補の第二位と結婚することになりますから」
「は？なんだよそれ！」
圭吾さんが立ち上がった。
馨子ちゃんを守るように前に立ち塞がって、二宮さんをちらっと見た。
「それは……本当に？」
「うん、宇佐美家の当主になる予定の繁幸様ですね、お相手は喜んで！と仰ってます、翔ちゃんが断ったら宇佐美とトントン拍子だなぁきっとー」
「え？喜んでって言った？馨子21だぞ？宇佐美って42だろ？あの年で独身ってゼッテー訳ありじゃねーか」
「あぁ、バツイチだったかな、いや、JK好きだったかな……」
「はぁー？」
圭吾さんが怒ってる。二宮さんが私の方を見てパチ、とウインクした。煽ったからあとよろしくってこと？怖い人だ！
「翔くん、なんとかしろよ」
圭吾さんは今度は櫻井さんに噛み付いた。
「水無瀬さんの判断に俺が口出しできるわけねーだろ」
「馨子と結婚すればいいだけ……」
「水無瀬さんは櫻井家を継がない俺に興味は無いから。近々あちらから縁談お断りってくるよきっと」
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コズ(プロフ) - おにぎりちゃんの名前からこんな素敵な展開になるなんて！想像の遥か彼方斜め上過ぎて、よしのさんの才能に改めて脱帽です！翔さん救ってあげて下さい！泣きながら移行先お邪魔してきます！ (2021年7月17日 19時) (
レス) id: 66137a872d (このIDを非表示/違反報告)
si(プロフ) - くうぅぅぅ〜。鬼！その表現の仕方が大好きです〜って、心の声を残しておきます〜(*´▽｀*) (2021年7月16日 12時) (レス) id: 9ba5f2c83a (このIDを非表示/違反報告)
しょうこ - よしのさんのお話見つけて、一気に読ませて頂きました！よしのさんワールドが本当に大好きで引き込まれます。お互い絶対好きなのに気持ちに蓋してる二人に胸がチクチクします。続き、楽しみにしてます。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: 48155091d1 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 素敵すぎるストーリーとキャラ設定にキュンキュンしながら一気に読んでしまいました！心がぎゅっとなる切なく、愛が溢れるお話に出会えて、私は幸せです！ 今後の展開を楽しみにしていますので、頑張ってください！ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 936edc827b (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - 盛り沢山o(*ﾟ∀ﾟ*)oありがとうございます！！最後まで楽しみすぎます！私もニノさんと言い合いしたいなぁ♪ (2021年7月13日 13時) (レス) id: c510f59081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月23日 13時
