亡霊に勝てる？ ページ18
「櫻井さん、こんなとこで寝ちゃだめですよ」
「この状況で寝れるわけねーだろ馬鹿」
どの状況？
私が首を傾げてたら櫻井さんがクッと喉で笑った。
「馨子のテストってなんだった？」
「またそれ聞くんですか？」
「うん、なんであいつAは許したの？」
「だから、私が櫻井さんのことを本当に好きだと確信したからですね」
「んだよそれ……」
苦笑してる。
こっちのほうが断然苦笑したい。
「それだけじゃないと思いますけど。ヒントをだすとしたら、無欲の勝利ってやつじゃないですか？」
「無欲の勝利？」
「はい」
櫻井さんが真剣に考え込んでて少し笑った。
「俺もその無欲って境地に至ったら、亡霊に勝てる？」
「亡霊というのは……何かの暗喩ですね？」
「うん、Aはすぐ汲み取ってくれるから話してて心地いいな」
なんだよう。
そんなこと言われると胸が苦しい。
「櫻井さんには勝ちたい亡霊がいる？」
「うん」
「負けなければ、勝てますね」
「……」
「勝つまで戦い続ければいいのでは？」
「……」
櫻井さんが何も言わずに私をじっと見た。
「負けて終われば負けですけど、次に勝てばその負けは勝つためのルートじゃないですか？」
「諦めなければいつか勝てるってこと？」
「マイケルジョーダンでしたっけ？試合に負けたことは一度もない。ただ時間が足りなくなっただけだって言ったの」
「あは！」
櫻井さんが楽しそうに笑った。
この笑顔が大好きなんだ。
「試合終了の時間、決まってますか？」
「まぁね、うん」
「じゃあ急がなきゃですね」
「うん……」
櫻井さんが笑った。
「頑張って。応援します」
「すげー他人事だけどA無関係じゃないからね」
「私も共に闘いますか？」
「Aはそこにいてくれるだけでいい」
櫻井さんが笑いながらいう。
「ここですか？」
「うん」
「じゃあここにいます」
「俺が勝つことでAが不利益になったとしても？」
いたずらっぽくそう言って私を混乱させる。
「私に失うものなんてあとは命くらいですよ！」
「そんなことないでしょ」
「あ、あとは、もう一つ大切な……人がいますけど」
「それは誰？」
「櫻井さんですね」
「そういうと思った。わざわざ聞いてごめん。俺のこと好きだもんね」
「そうですよ、わかってて聞くなんて悪い男」
「俺が悪い男？」
「……悪い男でしょ？」
「そうだね、否定できないなぁ……」
櫻井さんが小さく笑って目を閉じた。
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コズ(プロフ) - おにぎりちゃんの名前からこんな素敵な展開になるなんて！想像の遥か彼方斜め上過ぎて、よしのさんの才能に改めて脱帽です！翔さん救ってあげて下さい！泣きながら移行先お邪魔してきます！ (2021年7月17日 19時) (
レス) id: 66137a872d (このIDを非表示/違反報告)
si(プロフ) - くうぅぅぅ〜。鬼！その表現の仕方が大好きです〜って、心の声を残しておきます〜(*´▽｀*) (2021年7月16日 12時) (レス) id: 9ba5f2c83a (このIDを非表示/違反報告)
しょうこ - よしのさんのお話見つけて、一気に読ませて頂きました！よしのさんワールドが本当に大好きで引き込まれます。お互い絶対好きなのに気持ちに蓋してる二人に胸がチクチクします。続き、楽しみにしてます。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: 48155091d1 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 素敵すぎるストーリーとキャラ設定にキュンキュンしながら一気に読んでしまいました！心がぎゅっとなる切なく、愛が溢れるお話に出会えて、私は幸せです！ 今後の展開を楽しみにしていますので、頑張ってください！ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 936edc827b (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - 盛り沢山o(*ﾟ∀ﾟ*)oありがとうございます！！最後まで楽しみすぎます！私もニノさんと言い合いしたいなぁ♪ (2021年7月13日 13時) (レス) id: c510f59081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月23日 13時
