お菓子の在り処 ページ13
「Aさんって翔くんの部屋で寝てるの？」
馨子さんが聞いてきた。
「うん」
私が平然とそう言ったら櫻井さんのほうが動揺して息をヒッと吸い込んだ。
「仲いい」
「うん、仲良くしてもらってる」
「……いいなぁ、幸せそう」
「はい」
私がちょっとうつむいて微笑んだら櫻井さんが小声でA、と声をかけた。
「はい？」
「ちょっとごめん、書斎にいただきもののお菓子あったんだ、取ってきて」
「どこに置きましたっけ？」
「カバンと一緒に置いたような？」
「見てきます」
「うん」
なんだろう、何か私に聞かせたくない話でもする気かしら。
スタスタとリビングを出ていって、櫻井さんの部屋に入ってあるとは思えないお菓子をどう探そうかと考える。
ひとっぱしり買いに行こうかな。
部屋の中で考え込んでたら櫻井さんが、どう？あった？とか言いながら部屋に入ってきた。
ばたん。
扉を閉める。
「A」
「はい？」
「どういうこと？」
「何がですか？」
「むしろ馨子、懐いてない……？」
「馨子さんがいい子で安心しました」
「……どういうこと？」
「上手くやりますから大丈夫ですよ」
「え、ちょっと待って？」
「ところでお菓子なんてあるんですか？私をあの部屋から追い出したかっただけですよね？」
櫻井さんが、外国人がするみたいに一旦落ち着け、みたいな感じで手のひらを私に向けた。
どう考えても一旦落ち着くべきなのは櫻井さんの方。
「馨子はAを認めたの？」
「多分、そうだと思います」
「決定打は何？」
「私が心から櫻井さんのことを大好きだってことが理解できたからだと思います」
「……え」
「馨子さんは今まで歴代の彼女の邪魔をしてたわけではなくて、本当に彼女が櫻井さんを好きなのかどうかを確認してただけでした」
「え？どういうこと？過去の子たちはみんな馨子テストに落第したってこと？」
「そういうことです」
「テスト問題は何？」
「私が言うわけないじゃないですか」
「どうして」
櫻井さんが私の腕を掴んだ。
「離してください」
「教えてよ」
「次の彼女の対策のためですか？」
「……は？」
「次の彼女のためにテスト問題を聞いておいて不正するつもりですか？」
手を振りほどく。
櫻井さんが解かれた自分の手を見下ろした。
「そんなつもりじゃ……」
「お菓子なんてないんでしょ？」
「これ」
櫻井さんがお菓子の袋を私に手渡した。
本当にあったんだ。
一瞬、見えない亀裂が入ったように見えた。
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コズ(プロフ) - おにぎりちゃんの名前からこんな素敵な展開になるなんて！想像の遥か彼方斜め上過ぎて、よしのさんの才能に改めて脱帽です！翔さん救ってあげて下さい！泣きながら移行先お邪魔してきます！ (2021年7月17日 19時) (
レス) id: 66137a872d (このIDを非表示/違反報告)
si(プロフ) - くうぅぅぅ〜。鬼！その表現の仕方が大好きです〜って、心の声を残しておきます〜(*´▽｀*) (2021年7月16日 12時) (レス) id: 9ba5f2c83a (このIDを非表示/違反報告)
しょうこ - よしのさんのお話見つけて、一気に読ませて頂きました！よしのさんワールドが本当に大好きで引き込まれます。お互い絶対好きなのに気持ちに蓋してる二人に胸がチクチクします。続き、楽しみにしてます。 (2021年7月15日 12時) (レス) id: 48155091d1 (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 素敵すぎるストーリーとキャラ設定にキュンキュンしながら一気に読んでしまいました！心がぎゅっとなる切なく、愛が溢れるお話に出会えて、私は幸せです！ 今後の展開を楽しみにしていますので、頑張ってください！ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 936edc827b (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - 盛り沢山o(*ﾟ∀ﾟ*)oありがとうございます！！最後まで楽しみすぎます！私もニノさんと言い合いしたいなぁ♪ (2021年7月13日 13時) (レス) id: c510f59081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月23日 13時
