恋はしないから安心して ページ36
「昨日、あんなに触りたがったのってそういう意味ですよね、なんか変に勘繰っちゃってすみません……」
「いや、あの……」
「でも櫻井さん、私はわかってるからいいですけど、あんな態度取ったら駄目ですよ、自分に興味あるのかと勘違いします」
櫻井さんが戸惑うように下を向いた。
「ごめん……」
「もちろんあすかさんのことは変わらず大好きです。けど恋愛感情ではありませんから。だから安心してください」
「…………」
「男性不信は治ったかどうかはわかりませんけど、人間不信にならずに済んだのはあすかさんのお陰なんです」
櫻井さんがバッと目を上げた。
困ったように下がる眉。唇も尖ってる。
「うん」
「だから、あすかさんのお願いすることは理由が判れば全部聞きますから……昨日はなんだか妙な勘違いをしちゃってすみませんでした」
「……A」
「私はあさひさんの代わりだってちゃんと弁えてますから、例え櫻井さんが酔っ払ってうっかり私に手を出しちゃったとしても大丈夫です」
「いやいや、それは」
「でも例え何があっても絶対！櫻井さんに恋はしないから安心してください！」
きっぱり言いきって、ふう、と息を吐いた。
どうしてかな。
なんか泣きそう。
「……そっか」
「はい、ほんと、すみません」
「……」
「雑炊食べますか？用意してきますね」
走ってキッチンに行こうとしたら櫻井さんが私の腕をぐっと掴んだ。
「待って」
「はい」
「あの、ひとつだけ訂正しておきたい」
「……」
「Aはあさひの代わりじゃないよ。あさひは俺の好きな人って思い込んでるみたいだけど違う」
「……違うの？」
「Aが何をどう推理してどんなストーリーになってるのかわかんないから、そこ確認しときたいんだけど」
櫻井さんが私を優しい目で見下ろしてなんだか力が抜けるほどホッとした。
さっきの私を拒絶するような態度、めちゃくちゃショック受けてたんだ、私。
「櫻井さんの好きな人はあさひさんじゃないんですか？」
「違うよ。ただ、あすか、っていうかあさひは俺とは切っても切れない関係性というか……なんというか……大事な役割を担っていて……」
「……どういうこと……？」
「……説明しなきゃだめ？」
「嫌ならいいですよ？」
「じゃあ、これだけ。俺は今、他に恋愛感情を抱いている相手はいません、誓って言う」
「……はい」
「そして結婚と恋愛を別物と考えられる人間になる努力をしてるところなんだよ」
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さや(プロフ) - よしの様！2章お疲れ様でした。凄く丁寧に描写頂いて楽しいです！個人的には長編嬉しいです。毎回思います。終わらないでほしいと…では、また3章に行ってきますm(__)m (2021年6月23日 20時) (
レス) id: 04f741953d (このIDを非表示/違反報告)
ukyo(プロフ) - モツ鍋の〆と、その先が気になります。お互いの何となくな感情が苦しいですね。続き楽しみです。 (2021年6月21日 4時) (レス) id: fa3b80409d (このIDを非表示/違反報告)
JPN39(プロフ) - まさかのほくろの位置と顎の傷がドンピシャで自分と一緒でいつも以上に妄想に力が入りましたごちそうさまです！！！よしのさんの小説読んでると自分は櫻井担なんじゃないかと思い始める相葉担より(つまりよしのさんの小説大好きです←これが言いたかった) (2021年6月20日 21時) (レス) id: a734455ab7 (このIDを非表示/違反報告)
Kewpiechan(プロフ) - あー苦しい。ちと切ない。感情移入しちゃって大変です。よしのさんの書かれる文章大好きです。 (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9442e8a7d3 (このIDを非表示/違反報告)
あきこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！よしのさんの作品、何度読んでも大好きです！！ (2021年6月20日 19時) (レス) id: 4cb7b4484f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月6日 8時
