運命の女神のいたずら ページ27
「なんだよ、Aの見た目だけが好きなんだったら、そりゃ妹に乗り換えるよね、見た目ほぼ一緒なら若い方がいいでしょ」
「…………」
ひどいな。まぁ事実だけど。
「まぁそんなわけで、彼は出会う順番を間違えたことに気づいたってわけだ」
「でも私に出会わないと妹にも出会えないじゃないですか？」
「まぁね。でもそれも運命の女神のいたずらで、なんて酷いことをするんだって二人で抱き合って泣いたりしたんじゃないの？」
ううう。想像したらまた腹が立ってきたな。
絶対あの二人、運命の悲劇に酔ってたはず。
「……」
「ねぇ、誠治さぁ、Aに何か誘導尋問みたいなのさせたんじゃない？覚えてない？」
「誘導尋問？」
「親と妹の面倒を見るのは大変？とか。ほんとは逃げ出したかった？とか。なんかそういうネガティブなワード引き出されなかった？」
「……あると思う。ご飯行こうとか誘われても今日は用事があるから仕方なく帰るって言うことありましたもん」
「じゃあさ、大変だね、逃げたいと思った？とか聞かれたら、そりゃ何度もあるよ？とかつい答えるよね、彼氏なら」
「…………はい」
「自分の質問内容を省略してAの答えだけを抽出したらそりゃもうAは悪者だよ」
櫻井さんがパチっと目を開けて私をじっと見据えた。きれいな目。
「お母さんも妹もいなきゃ普通の幸せを得られたのに、二人がいるせいで私はこれからも二人の面倒を見なきゃならない、しんどい」
「……」
「ってこと言いました私。そのしんどさは母と妹の生活を守るために、子供ができてもすぐに復職して仕送りするという、しんどさです」
櫻井さんがうん、と頷いた。
「Aを冷たい女だと仕立て上げるにはちょうどいいよね、俺はお義母さんと妹のことも大切に思ってるのに姉のお前は何だよ、という」
「……はい」
「じゃあ後半のストーリーは。……非情なAから沙月と義母を守りたいと思った俺は二人を守るために婚約破棄という方法を取った」
「……」
「Aに代わって家族を沙月と義母を守る。二人を傷つけるAはこの家から出ていけ、くらいまで妄想が爆走してんだろ」
櫻井さんが生ハムをぱくりと食べる。もぐもぐ。美味しいって感じで目尻が下がる。
「最悪ですね」
「うん、浮気した奴がバレて慌てたり反省したり開き直ったりするのはよく聞くけど、Aを家から追い出すなんて相当だなと思って」
櫻井さんが腹を立ててくれて嬉しい。
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さや(プロフ) - よしの様！2章お疲れ様でした。凄く丁寧に描写頂いて楽しいです！個人的には長編嬉しいです。毎回思います。終わらないでほしいと…では、また3章に行ってきますm(__)m (2021年6月23日 20時) (
レス) id: 04f741953d (このIDを非表示/違反報告)
ukyo(プロフ) - モツ鍋の〆と、その先が気になります。お互いの何となくな感情が苦しいですね。続き楽しみです。 (2021年6月21日 4時) (レス) id: fa3b80409d (このIDを非表示/違反報告)
JPN39(プロフ) - まさかのほくろの位置と顎の傷がドンピシャで自分と一緒でいつも以上に妄想に力が入りましたごちそうさまです！！！よしのさんの小説読んでると自分は櫻井担なんじゃないかと思い始める相葉担より(つまりよしのさんの小説大好きです←これが言いたかった) (2021年6月20日 21時) (レス) id: a734455ab7 (このIDを非表示/違反報告)
Kewpiechan(プロフ) - あー苦しい。ちと切ない。感情移入しちゃって大変です。よしのさんの書かれる文章大好きです。 (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9442e8a7d3 (このIDを非表示/違反報告)
あきこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！よしのさんの作品、何度読んでも大好きです！！ (2021年6月20日 19時) (レス) id: 4cb7b4484f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月6日 8時
