負けたくない、それだけ ページ34
櫻井さんは私の買い物するのを、カートを押しながら後ろからついてきた。
きょろきょろしてる。
「絹さやとわけぎ、どっちがいいです？」
「わけぎ……とは」
「わけぎはネギみたいなのです、絹さやはさやえんどう」
「じゃあ……さやえんどう……」
私がカゴに入れた絹さやを櫻井さんが持ち上げてじろじろ見てる。
「たくさんはいってる……」
「冷凍しておきます、あの、醤油はありますか？」
「醤油はある、どぼどぼ分くらいなら」
「みりんはなさそう」
「みりんはない」
「勿論料理酒もありませんよね」
「日本酒あるよ？獺祭貰ったんだけど」
「いや、やめて！勿体無いです！美味しくなるだろうけど！」
「へーぇ」
櫻井さんが楽しそう。
「米あります……？」
「……」
「じゃあ買っときますね」
「はい」
「ほか何がいいかなぁ、ほうれん草ときのこの炒め物とか？お味噌汁どうしよう、あ！ごはんにちりめん山椒乗せちゃいます？」
「……まかせる」
櫻井さんが考えるのを放棄したようだ。
私がせっせと食材を買ってるのを見て、なんだかぼーっとしてる。
材料を買って帰ろうとしたら櫻井さんが私を慌てて止めた。
「なんですか？」
「他に必要なものない？ほら！ベッドとか」
「毛布1枚と座布団とかでいいんですけど」
「座布団？だめだめ！客用の布団があるからせめてそれ使って？」
「じゃあお借りします。すぐ出ていくのにベッドなんて必要ありません」
「じゃあ、愛用のシャンプーとかは……」
「そんなのないない、とりあえずちっちゃい旅行用のは昨日買ったんで！今日はそれでいいです、無くなったら買いに行きます」
「……パジャマはあるの……？ねぇ、そんなに少ない荷物だけで生きていけるの……？」
あれ？なんか困った顔してる。
「あは、気にかけてもらってありがとうございます」
「……」
「私そのへんの雑草食べても生きていけるんですよ、大丈夫です！」
「そんな……」
「大丈夫です」
私がそう言ったら櫻井さんが困ったような顔をしたまま、駐車場に向かう。
「Aちゃん」
「はい？」
「君は……強いね」
「そんなことありません、負けたくない、ただそれだけです」
「誰に？」
「自分に」
櫻井さんが車を発進させる前にシートに身を埋めて、私をじっと見た。
「ん？」
「おにぎりだなぁって思って。そういうしなやかな強さ、いいよ」
「……」
「なぁ、おにぎりが俺ならどうする？」
櫻井さんが前を見据えたまま、ポツリと言った。
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たくりー(プロフ) - よしのさん久しぶり！こちらに超久々に来たら新しいの始まってた！これからゆっくり読むけど、先に挨拶だけ！また来るね。お話楽しみ！ (2021年6月15日 22時) (
レス) id: defddfb032 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - はじめまして。私、名前があさひで、名前変更をあさひにしているので、翔さんの好きな人のあさひさんとごっちゃごちゃなりました（笑）一人パニックです。え！？もう目の前で好きって言ってるやん？！（笑） 一旦別の名前で読みすすめます（笑）この先も楽しみです (2021年6月6日 17時) (レス) id: 06a0e145b0 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 更新だけでも嬉しいのに！更に移行までとは！コレは朝から満腹満腹です♪スタイリストJも登場してワクワクが止まりません！そしてそして、今、まさにヒロインちゃんと同じ格好している自分に驚き！引っ詰めお団子にガウチョ（笑）バレてる？！と興奮したまま移行先へGO (2021年6月6日 10時) (レス) id: 66137a872d (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - よしのさんの作品が本当に大好きすぎて言葉が見つかりません。どの作品も愛が感じられて悶えに悶えまくってます。これからも続き楽しみにしています。 (2021年6月5日 18時) (レス) id: b781728ede (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 「こんにち」を「今日」と表記しないよしのさんの優しさが大好きです。更新楽しみにしています。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 8c103793b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年5月28日 14時
