初めましてのお目見得 ページ13
翌日。
私は早めにカフェに行って、入口がよく見える席に座った。
手には分厚い本。
私が大のミステリー好きだということを知ってるあすかさんなら、一目見て、ああ、おにぎりだ！とわかる本を買ってきた。
去年から気になってたのに全然読む暇がなかった好きな作家さんのミステリー。
1時になってそわそわしてきた。
あすかさん、どんな人だろう。
1時ぴったりに。
カフェに男女の二人組が入ってきた。
二人が周りを見渡した。
まず、男性の方が私に目を止める。
私が手に持った本を見て、私の顔を見た。
少し微笑んでから、横にいる女性に声をかけて、私の方を指差した。
女性が振り向く。
私を見て、にっこり微笑んだ。
さて。私の今の気持ちを10文字で表せ。
『美男美女すぎてヤバイ』だ！
周りの人間も二人を見てぽーっとしてる。
ドラマかよ。って突っ込みたくなるような美しすぎる画に、私自身声も出せずにいた。
「Aちゃん？だよね？想像通り」
「……はい」
女性が私の前に現れて微笑む。
想像していたより遥かに美人で、心臓がドキンドキンってうるさい。
「初めまして、櫻井です」
隣の男性も私を見て前の席に座る。
二人が店員さんを呼んでコーヒーを頼んで名刺を出すまで私は絶句したまま声も出ない。
二人が不思議そうに私を見てる。
「……あ！えっと！初めまして、おにぎりです」
「あは」
櫻井さんが楽しそうに笑った。
あすかさんは優しい目で私をじっと見て、ゆっくりと口を開く。
「彼が櫻井くん。弁護士だから力になれると思うよ」
「離婚問題に詳しい方……？」
「ああそれは」
彼が素早く返事した。
「俺は企業が多いけど、刑事とか離婚相続とか交通事故とかそっちも言われたらやるよ。ただ経験値で言うと離婚は少ないかもしれない」
「へぇ……」
あすかさんは櫻井さんをちらっと見て、私をじーっと見つめた。どきどき。
美人に見つめられるとすごいドキドキする。
透き通る肌ときれいな目。
「あすかさん、想像してたよりお綺麗でちょっと動揺してます……」
「ありがとう！Aちゃんも可愛いね！ねぇ、櫻井くん」
「そうだね」
微笑み合う二人を見ていたらテーブルから向こうはテレビの中の世界みたいだ。
「早速だけど、浮気がわかった経緯とか、聞いてもいい？」
あすかさんが聞いた。
「はい。金曜の夜……仕事終わったあと話がある、って彼が家に来たんです」
私の言葉を促すように、櫻井さんが頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2014人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たくりー(プロフ) - よしのさん久しぶり！こちらに超久々に来たら新しいの始まってた！これからゆっくり読むけど、先に挨拶だけ！また来るね。お話楽しみ！ (2021年6月15日 22時) (
レス) id: defddfb032 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - はじめまして。私、名前があさひで、名前変更をあさひにしているので、翔さんの好きな人のあさひさんとごっちゃごちゃなりました（笑）一人パニックです。え！？もう目の前で好きって言ってるやん？！（笑） 一旦別の名前で読みすすめます（笑）この先も楽しみです (2021年6月6日 17時) (レス) id: 06a0e145b0 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 更新だけでも嬉しいのに！更に移行までとは！コレは朝から満腹満腹です♪スタイリストJも登場してワクワクが止まりません！そしてそして、今、まさにヒロインちゃんと同じ格好している自分に驚き！引っ詰めお団子にガウチョ（笑）バレてる？！と興奮したまま移行先へGO (2021年6月6日 10時) (レス) id: 66137a872d (このIDを非表示/違反報告)
r(プロフ) - よしのさんの作品が本当に大好きすぎて言葉が見つかりません。どの作品も愛が感じられて悶えに悶えまくってます。これからも続き楽しみにしています。 (2021年6月5日 18時) (レス) id: b781728ede (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 「こんにち」を「今日」と表記しないよしのさんの優しさが大好きです。更新楽しみにしています。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 8c103793b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年5月28日 14時
