40 ページ40
今まで私は本当に圭太しか知らなかったんだなぁという衝撃から抜け出せそうにない。
圭太が最低なのか櫻井くんが最高なのかは知らない、比較対象が2件なら正確なデータが収集できるわけがない。
許容誤差を1％にしたいなら約10000人のサンプルが必要だと言われているのに。
私が余りにも余りにもこういう流れに慣れていないことに気づいた櫻井くんは、急にめちゃくちゃ優しくなった。
もしかしたら、私は愛されてるのでは？と勘違いしてしまいそうな優しさで私を包み込む。
キスするたびに微笑むのやめてほしい。
いちいち平気？って確認するのもやめてほしい。
本当にやめてほしい。
ただでさえ、櫻井くんが好きで好きで仕方ないのに、これ以上好きになったらどうなるんだ。
もう手遅れだけど。
まずい。
好きだ。
好きすぎる。
好きで好きで死ぬかもしれない。
これはまずい。
櫻井くんが私をただの女の子に変えてしまって、私が完全に櫻井くんに支配されてしまって、そうなって初めて。
櫻井くんが、はぁー！と体中の酸素を吐き出すような息を吐いた。
「ん……？」
「何でもない……」
言いたいことを何でも言い合える私達が、本当に言いたいことを何も言えなくなってることに気づいていたけど。
どうせ私達は壊れてしまった。
新しい関係になるのかな？
お互い体の隅々まで知り尽くしてる親友って？
なにそれこわい。
でももう、どっちにしてもキスした時点でもう戻れなかったんだから。
私達がこうなったことが罪だと言うなら。
出会った瞬間から罪だったよ。
お互いにこんなに離れたくないって、もっと一緒にいたいって思うのは時間の問題だった。
そのまま。
私達は抱き合ってうたた寝して、櫻井くんが真夜中にシャワーを浴びに行ったのに気づいた。
櫻井くんはそのまま自分のベッドに戻るだろうなと思って、ベッドの真ん中に寝返りを打って、のびのびすやすや眠ってたら。
戻ってきた櫻井くんが私をゴロンと壁側に転がした。
「……ん……？」
「狭いからそっち行けって」
「こっちで寝るの？」
「いいだろ別に、ああ、寒」
「……」
ホカホカの櫻井くんが私をふんわり抱き寄せた。
「あったけぇ」
腕枕。
ふー、と息を吐く櫻井くん。
ああ。きもちいい。
しっくりくる。
しばらくしたら、櫻井くんの寝息が聞こえてきた。
安心する。
子守唄みたい。
そばにいてくれてる。
櫻井くんの寝息を聞きながら、私も気持ちよく眠りに落ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1894人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuuuuuuuri1226(プロフ) - 8ページの深呼吸のところが新呼吸になってます！ (2021年3月7日 0時) (
レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 更新に全く気が付かず出遅れるとは！越えたかー！越えてしまったのかー！ここから友情に…むっ難しい…どうなるんだろうか…ドキドキ (2021年2月1日 23時) (レス) id: b75159ca86 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - キュンが止まらなくて困りますよこんなの！次も楽しみにしてます！！！！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 1b6c03fa67 (このIDを非表示/違反報告)
さと(プロフ) - もうドキドキが止まらない！サイコーです。よしのさんありがとう！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 97bb53cb68 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - よしのさんありがとうございます！！翔さんありがとう！！切ない気持ちがまたいいですね！移行通知くるの待ってますね(^^) (2021年1月31日 12時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月25日 0時
