リップと絆創膏女 ページ43
「王子が助けに来てくれて恋しないなんて頭おかしくない？」
「うん、……言い方に問題あるから違う言い方してみようか？」
櫻井さんがしかめっ面なのか笑ってるのか、見たことないような眉の角度でそう言った。
「櫻井さんが好きです」
「……」
「バカでしょ私。自分の事大嫌いなのに。櫻井さんには私みたいな女を選んでほしくないのに好きになるなんて。ホントバカみたい」
櫻井さんが黙り込む。
「……」
「櫻井さん？」
「……」
返事しない。
困ってるのかな？
言うんじゃなかった。かも。
やっちゃったかな。
段々告白したことを後悔してきた。
櫻井さんが突然、道を変えた！
「え」
「……」
「ここは」
んん？
しばらく走って、ちょっとした公園の横に路駐した。なんで？
「櫻井さん？」
「ねぇ」
「？」
公園の街灯で櫻井さんの表情が見えた。
櫻井さんの視線が私の唇に注がれて、手が私の後頭部をグッと支えた。
首をちょっと傾げて私を見下ろす。
え、これキスするシーンじゃない？
どうしよう、唇カッサカサだよ！
「待って！今キスしようとしてません？」
「は？わりーかよ」
「だめ！唇カサカサ！」
「どーでもいい」
「だめです！カサカサ！カサカサはだめです、せめてリップ塗らせてください！」
「うるせー」
「リップ、えっとカバン」
顎をぐいっと持ち上げられた。
「目、開けたままでいいの？」
ひー！
櫻井さんがフフンって勝ち誇ったみたいに笑って、チュ、と可愛い感じのキスをした。
至近距離でニーッと笑う。
「あぁ……リップ塗らせてくれなかった……」
涙がじわーっと滲んでくる。
さっきの怖かったのとか色々感情がごちゃまぜになって涙がぽろって出た。
「あ！泣いた！うっそ！」
「リップ塗らせてくれなかった……ひど……」
「え、そっちの理由で泣くの？え？」
しくしく泣いてる私を見下ろして、櫻井さんがオロオロした。
「これは……嬉しくて泣いて……ないよね？」
「二回目のキスも納得行くものではなかった……なんてこった……」
「……オイ……」
「とりあえず三回目に備えることにする……」
ガサゴソ。
カバンからリップを取り出したら櫻井さんがブブー！と吹き出した。
リップ塗れたけど化粧も直したい。
でもほっぺに大きな絆創膏貼ってて……
あーー！
絆創膏貼ってる私とキスしたのか！
100歩譲って王子のキスのお相手が美人でなかったとしても！絆創膏女とキスはだめだ！だめだだめだ！
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いろは(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！！TwitterのフォローをさせてもらったのですがDMが送れずこちらから送らせてもらいます。SUZUIROというアカウント名です！ (10月5日 20時) (
レス) @page47 id: 7b03d9df09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結、おめでとうございます！よしのさんのお話はいつも楽しく読ませていただいています！ (2020年3月25日 20時) (レス) id: 29ae961861 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - よしのさん、こんにちは！とにかく、とにかーく面白かった！一気読みしました！久しぶりに朝方まで（徹夜に近い）読んでいました。もう本当に読むのが楽しいってこういうことなんだって思いました！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろかったー！一気に読みました！読後感がスカッと爽やか(^O^) ありがとうございました！ (2020年3月1日 9時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
mikoto020707(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてました。終わってとても寂しいです。両思いになってからも櫻井さんが振り回される続きが読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年2月27日 9時) (レス) id: 285ed8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月11日 8時
