御曹司とお似合い ページ30
翌日。
朝、駅で待ってたのは櫻井さんでも石田くんでもなく、部長だった。
「おはよう麻倉さん」
「えー！」
「ごめんね僕で」
「いえいえ！びっくり！」
「ちょっといい？」
「はい」
部長が私の方を見て、はー。とため息を吐く。
「櫻井くんがちょっと今麻倉さんと話したくないとかで」
「はぁー？何あいつ……！」
「麻倉さん麻倉さん、ちょっと地が出ちゃってるよ！」
「はぁ、バレてました？」
「バレてるよ、仕事できすぎるからおかしいなぁーと思ってちょっと派遣先に経歴聞いちゃったよ、スパイかなって疑ってごめんね」
「褒め言葉と受け取ります」
「ありがと」
部長がふー、とため息を吐く。
「昨日、麻倉さんのパソコンに仕掛けたトラップなんだけど」
「はい」
「捕獲したけど、やっぱり海外とかのプロキシサーバ経由してて辿り着くのに時間がかかりそうでね」
「……」
「パスワード、迷いなく入れたみたいなんだけど、誰かに教えた？」
「見られたかもしれません……」
「そっか……」
部長が頭をポリポリ掻いた。
「けど、麻倉さんのファイル開くと『あなたのPCはハッキングされてます』ってメッセージが相手のPCに表示されるように仕込んどいた」
「えー」
「カウントダウンされるやつ」
「迷惑メールじゃないですか……」
「迷惑こうむってんだからいいでしょ」
部長ってこんな面白い人だったんだな。
「ねぇ、来月、派遣の契約更新だよね」
「はい」
「更新しないの？」
「再就職しようかと、考えてます」
「それがいいよ、うちに来てほしいけど……」
「サクラグループに中途入社は難しいですよ」
「櫻井くんのコネがあれば……」
「そのコネは使えません、別れたので」
あはは、って笑ったら部長が悲しそうな顔をした。
「……あんな楽しそうな御曹司、初めて見たのになぁ……お似合いだったのに……」
「……私は御曹司の彼女の器ではありません」
「そうかなぁ」
「毎日あの顔見て鏡見たら自分の顔が不細工に見えて仕方ないんですよ？」
「きれいな顔してるもんねぇ。でも麻倉さんもかなり可愛いと思うんだけどなぁ」
部長優しいな。
「ありがとうございます」
「おはようございます！珍しい組み合わせ！」
後ろから中西さんが来て、三人で会社に向かうことになった。
「中西さんおはようございます」
「麻倉ちゃん、御曹司振ったんでしょ、酷いよ、御曹司落ち込んでたよ」
うわーお。
あの策士には勝てない。
つい。
笑いがこみ上げた。
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いろは(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！！TwitterのフォローをさせてもらったのですがDMが送れずこちらから送らせてもらいます。SUZUIROというアカウント名です！ (10月5日 20時) (
レス) @page47 id: 7b03d9df09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結、おめでとうございます！よしのさんのお話はいつも楽しく読ませていただいています！ (2020年3月25日 20時) (レス) id: 29ae961861 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - よしのさん、こんにちは！とにかく、とにかーく面白かった！一気読みしました！久しぶりに朝方まで（徹夜に近い）読んでいました。もう本当に読むのが楽しいってこういうことなんだって思いました！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろかったー！一気に読みました！読後感がスカッと爽やか(^O^) ありがとうございました！ (2020年3月1日 9時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
mikoto020707(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてました。終わってとても寂しいです。両思いになってからも櫻井さんが振り回される続きが読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年2月27日 9時) (レス) id: 285ed8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月11日 8時
