寂しがりやと策士王子 ページ28
参ったな。
この私が。
失恋したみたいな気持ちでお酒も飲まずにベッドで泣きべそかいてる。
好きなのかなぁ。
好きなんだろうなぁ。
なんて身分違いの恋をしちゃったんだ。
しかも。私のこと好きになってほしいなんてこれっぽっちも思わない。
だって私はクズ女。クズ女なんか好きにならないでほしい。
つまり私が私を一番やめとけって思うんだから恋なんてしちゃいけない人間なんだよ私は。
あー！もう。
考えても無駄！無駄無駄無駄！
寝てやろう。もう寝る。寝るぞ。寝た。
うん。
ちっとも眠れないまま朝になった。
良い天気だな。
はぁ。
仕事に行くとするか。
駅についたら。
櫻井さんがいた。
なんでいるんだ。
「あ！A！」
「……」
「A！別れるなんて嘘でしょ、考え直してよ」
何言ってんだ！
うん！そうだ！無視しよう。
「A、待ってよ」
「……」
「婚約者とはちゃんと破談にしたから！」
「……」
「俺、好きなのはAだけなのに！」
あ、これ反撃か？
今度は可哀想な俺、酷いAってことにして自分に有利なストーリー仕上げるつもり？
睨んだら櫻井さんが誰にも聞こえないトーンでぼそりと、これでよし。と呟いた。
「策士」
「褒め言葉だな」
一応並んで歩き出す。
「A二日酔いみたいなひどい顔してる」
「ワアすごーい！よく気づいたね、昨日一滴も飲んでないよ！」
「飲まないと具合悪くなる体質なのか可哀想に、依存に気をつけて」
「もう禁酒しようかな」
「でも飲まないと眠れなくない？」
「櫻井さんも？」
「あ、お前も？」
「さては寂しがりやなんですね？」
「おやおや自己紹介ですか？」
はぁ。
こんな気の合う人なんて多分もう一生見つからない。
櫻井さんが小声で私の耳元に話しかける。
迂闊にもゾクッときた。
「昨日はありがとう。それだけ言いたくて」
「あ、うん」
「あともう一つだけ。一人で暴走すんなよ」
「気をつけます」
「ん」
櫻井さんがニコッと笑って、じゃあ俺先に行くよ、って走って行った。
そっか。
育ちのいい人特有のお礼は顔を見て言うべきという自分なりのルールに基づいた待ち伏せだったのか。
やっぱりもう終わったんだなぁ、なんて。
ちょっと凹んでたら、後ろから肩をぽん、と叩かれた。
「おはよ、麻倉さん」
「……ああ、石田くん」
「聞こえてたよ、櫻井さん婚約者と別れたのに振っちゃったんだね」
「うん」
「かっこいい」
石田くんは私の気も知らずに微笑んだ。
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いろは(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！！TwitterのフォローをさせてもらったのですがDMが送れずこちらから送らせてもらいます。SUZUIROというアカウント名です！ (10月5日 20時) (
レス) @page47 id: 7b03d9df09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結、おめでとうございます！よしのさんのお話はいつも楽しく読ませていただいています！ (2020年3月25日 20時) (レス) id: 29ae961861 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - よしのさん、こんにちは！とにかく、とにかーく面白かった！一気読みしました！久しぶりに朝方まで（徹夜に近い）読んでいました。もう本当に読むのが楽しいってこういうことなんだって思いました！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろかったー！一気に読みました！読後感がスカッと爽やか(^O^) ありがとうございました！ (2020年3月1日 9時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
mikoto020707(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてました。終わってとても寂しいです。両思いになってからも櫻井さんが振り回される続きが読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年2月27日 9時) (レス) id: 285ed8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月11日 8時
