落ちない女 ページ6
「……っ！」
じいっと見てる。観察か？
「ちなみに、Aの言うハードボイルド女は、こういうときマンションの下で男を見捨てて帰ると思うけど？」
「それが正解？」
「うん」
「そっか、今度からそうする」
「是非そうしてください」
「次の日見捨てた男の人に酷いなーとか言われたらなんて答えればいいの？」
「ああ、すみません、家の前までで失礼しました。ちゃんと帰れましたか？私も気持ち悪くなっちゃって途中ですみません、とかだなぁ」
メモ取りたい。
なるほど。
「第一ハードボイルド女は彼氏とか好きな人がいるフリとかするから隙が無い」
「そうかも……そういえばあの子にもいた」
「高校時代の先輩とかでしょ？」
「そう！なんでわかるの！」
「いい女って簡単に落ちないよね。多分だけどさぁ、そういう子ってすげー修羅場くぐり抜けてんだよなぁ、逃げるのも上手い」
櫻井さんがもとの位置に座ってホッとする。
「ソファ、ここどうぞ？」
「急にだっこしない？」
「しない！」
笑ってる。
一番離れた場所のソファに座る。
そんな怯えなくてもいいだろうと自分でも思うけどびくびく。
「Aって知れば知るほど面白いなー」
「そんなことない！」
「イヤまじで！」
「嫌味？」
「嫌味じゃねーよ！」
櫻井さんは私を家に連れ込んだだけで特に襲ってやろうって思ってないとわかって少し気が楽になった。
二人でニュースを見て、犯人に文句言ってたら櫻井さんが笑ってる。
「家でもそんな感じ？」
「うん」
「Aって不器用で真面目で面白くていいやつなのに損して来たんだな、お気の毒……」
「……いいやつじゃないよ」
「御曹司に振られなきゃどこにでもいる普通の女だったのかな、としたら皮肉だな」
「普通がよかったよ！」
なんか楽しいな。
櫻井さんもニュース見ながら、犯人に悪態ついてて楽しい。
何話してても楽しい。なんか嬉しい。
しばらくしたら、俺あんま飲まないから、ってシャンパンが冷蔵庫から出てきた。
「モエ・エ・シャンドン！」
「ん」
ワインボトルをわーい！って受け取った瞬間。
櫻井さんがフッと屈んで。
唇と、唇が触れた。
「……え」
「グラス持ってくる、待って」
「…………帰る！」
「え」
光の速さでカバンを取って、走って玄関に向かう。
「A、待って」
「最低！」
靴を履くのももどかしく、勢いでマンションを飛び出した。
タクシーを探して駅に向かう。
泣く？
絶対、泣いてやんない。
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いろは(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！！TwitterのフォローをさせてもらったのですがDMが送れずこちらから送らせてもらいます。SUZUIROというアカウント名です！ (10月5日 20時) (
レス) @page47 id: 7b03d9df09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結、おめでとうございます！よしのさんのお話はいつも楽しく読ませていただいています！ (2020年3月25日 20時) (レス) id: 29ae961861 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - よしのさん、こんにちは！とにかく、とにかーく面白かった！一気読みしました！久しぶりに朝方まで（徹夜に近い）読んでいました。もう本当に読むのが楽しいってこういうことなんだって思いました！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろかったー！一気に読みました！読後感がスカッと爽やか(^O^) ありがとうございました！ (2020年3月1日 9時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
mikoto020707(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてました。終わってとても寂しいです。両思いになってからも櫻井さんが振り回される続きが読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年2月27日 9時) (レス) id: 285ed8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月11日 8時
