３ ページ4
彼の必死の言葉に、皆が黙り込んだ。
嘘でないことは心を読まなくてもわかる。
それに公安は、ミラーくんの正体を暴く前に驚いて階段からおちるなんて自業自得だ。
あえて言うなら、住居侵入罪や建造物侵入罪とかになる。
3年以下の懲役または10万円以下の罰金、なのだけど……。
「……別に邪魔してやろう、って思ってたわけじゃないもんね……」
相葉さんが困ったねぇ、って笑った。
「もういいよ、帰っていいよ」
櫻井さんが苦笑した。
「けど、あの場所は多分無くなるから、二人で堂々と会えるようになればいいね」
「……はい」
櫻井さんと相葉さんが微笑んで、終わり、って感じで話を打ち切った。
「ではまた、お話を伺いたいときは病棟にでも伺いますので」
「……はい、すみませんでした」
二人が頭を下げて立ち上がる。
立ち上がりながらミラーくんがポツリと呟く。
「鎌の男ってことは5年たったんですね、早いなぁ……」
「……うん？」
何を言い出すのか皆がミラーくんを見る。
「あの、僕ここ長いじゃないですか？鎌の男の霊の話がでるとあの事件思い出します」
「事件……？」
全員がミラーくんの顔をじっと見る。
「あれから5年かぁ、と思って。ムラタさん今どこでどうしてるんだろう」
「ムラタ……？」
「あれ？ご存じないですか？」
ミラーくんがもう一度ストンと座った。
「ミサキさんはもう帰っていいですよね？僕と一緒だとまた色々言われるし」
「そうですね、ではタカノユウキさんだけちょっと残ってもらえますか？」
松本さんが立ち上がって看護師を出口に促す。
「あ、じゃあ、お先失礼します」
「またラインするね」
ミラーくんがニコッと笑って手を振った。
笑うとめちゃくちゃかわいいじゃないか。
「で、事件、というのは……」
「鎌の男の噂が流れると、行方不明者が出るんです」
ミラーくんがこともなげに、そう言った。
「あれ？逆かな？行方不明者が出ると鎌の男の霊かな？」
「……その行方不明者、がムラタさん？」
二宮さんが相葉さんの横に座ってメモを取り出す。
「そうです。その前に噂になったときも人がいなくなりました、その時僕はまだ小さくて大人がこそこそ話してるのを盗み聞きして」
「うん」
「ムラタさんは、ここの事務のお兄さんでした、だから覚えてます」
「突然いなくなったの？」
櫻井さんがミラーくんに聞く。
「はい、失踪したのかな、って言われてました」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのきょん(プロフ) - 終わるのが悲しすぎるくらいにこのお話大好きです。10回以上は読んでるので最近櫻井くん達と一緒に謎解きしちゃってます笑笑 (2020年3月3日 14時) (
レス) id: 2efb088670 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - よしのさんのお話はドラマ化して欲しい…頭ン中では勝手にドラマ化してますけど実写で見たいです。 (2020年3月3日 7時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
まどか(プロフ) - 待ってましたぁぁ！！主人公と櫻井さんの、このもどかしい関係がたまらず夜も眠れません。徐々に核心に迫っていくストーリーにもワクワクが止まりません。最高です大好きです！！次の更新も楽しみに待っております…！！ (2020年3月3日 4時) (レス) id: 5cdf0b4209 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 結末が気になりすぎちゃうので、よしのさんのお話は完結してから読むようにしています。読むのとても楽しみです(^^)無理せずに更新してくださいね！ (2020年3月2日 21時) (レス) id: df1a3da33b (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - ドキドキしましたァー！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも無理せず、けれども遅くなりすぎずにお願いします！ (2020年3月2日 17時) (レス) id: d31a60eebe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年11月6日 8時
