５ ページ21
「読んだわね」
「お前さっきからおかしくね？読めって言ったり読むなって言ったり」
「……読まないで」
やだ。読まれちゃやだ。
絶対やだ。もうやだ、泣きそう。
「泣くほど嫌……？」
「……」
「あ、そういや、泣いてた……怖い夢、もうあの後見なかった？」
ハッとして目を上げる。
「あ、ありがとう、助けてくれて……」
櫻井さんが戸惑ったように耳の後ろを人差し指で少し掻いた。
「泣くほど怖い夢って何だった？」
「うん……私相葉さんを鎌で殺そうとしたの……鎌男が憑依した夢」
「……それであんなこと言ったのか」
櫻井さんが苦笑してお茶を一口飲む。
「うん」
「私を殺してねってお前……」
櫻井さんが視線を落として自分の指をじいっと見つめてる。
「……」
「お前はニノに、なんて返事した？」
「そんなことさせないって、言った」
「どうやって止める？」
「……うん、最後の最後まで残ってるはずの二宮さんの意思に賭ける、完全に乗っ取るのは無理だと思うから、だから」
「……うん」
「仲間を殺そうとしたらきっと我にかえるってその可能性を信じる、前に大野さんを間違って斬って我にかえった二宮さんを見たし」
私がお茶を飲んで言葉を切ったら櫻井さんが静かに何度も頷く。
「……うん同じだよ、俺もそう思う。魂だけのモノなんかに、体と繋がってる方の魂が絶対したくないと思ってることをさせる力があるとは思えない」
「うん」
「俺を手にかけたら我にかえるだろう、って……その程度には、仲間として大事に思われてる自負がある、あとは俺の運の問題？」
「櫻井さん……」
身を盾にして仲間を鬼から取り戻すよって。
その決意が嬉しくて悲しくて苦しい。
「いやでも、お前は無理かな、だってさっきから俺のこと無理だ嫌だって言ってるし」
「それは！」
思わず中腰！
「ん？」
「そういう意味じゃない！」
「……うん」
「仲間として大切に思ってる！仲間として！」
「お、おう……ん？」
櫻井さんが、ふ、っと笑った。
「ああ！そういうことか！お前も相葉くんに何か言われた？」
「……えっ！」
「あれ真に受けるなよ？」
櫻井さんが眉をハの字にして笑ってる。
「どういうこと？」
「相葉くんよくわかんねーけど俺とお前くっつけようとしてんだよ、似てるからって」
「……」
「嫌だ嫌だってそのことか、スッキリした！俺もヤダよ！キスまでの段取りとか読まれるの最悪！」
……なぁんだ、そっか。
……なんだ。
……そっか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にのきょん(プロフ) - 終わるのが悲しすぎるくらいにこのお話大好きです。10回以上は読んでるので最近櫻井くん達と一緒に謎解きしちゃってます笑笑 (2020年3月3日 14時) (
レス) id: 2efb088670 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - よしのさんのお話はドラマ化して欲しい…頭ン中では勝手にドラマ化してますけど実写で見たいです。 (2020年3月3日 7時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
まどか(プロフ) - 待ってましたぁぁ！！主人公と櫻井さんの、このもどかしい関係がたまらず夜も眠れません。徐々に核心に迫っていくストーリーにもワクワクが止まりません。最高です大好きです！！次の更新も楽しみに待っております…！！ (2020年3月3日 4時) (レス) id: 5cdf0b4209 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 結末が気になりすぎちゃうので、よしのさんのお話は完結してから読むようにしています。読むのとても楽しみです(^^)無理せずに更新してくださいね！ (2020年3月2日 21時) (レス) id: df1a3da33b (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - ドキドキしましたァー！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも無理せず、けれども遅くなりすぎずにお願いします！ (2020年3月2日 17時) (レス) id: d31a60eebe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年11月6日 8時
