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体を繋げたら、何か気持ち変わるかなぁって思ったけど。
やっぱりちっとも、安心感など生まれないし、むしろ痛みだけが増えていく。
シャワーを浴びながら、私達の未来を考えた。
私は二宮くんともう会わなければきっとこのままいい思い出としてフェイドアウトする。
松本くんとか大野くんとか男友達もできて、私はきっとちゃんと二宮くんの面影を消せる。
実際、もう思い出さない日のほうが多かったりするんだ。
けど。
櫻井くんとお姉ちゃんは。
これから先も会うし、
もし私とこれからも続くならお姉ちゃんと櫻井くんは会い続けるんだ。
しかも。
きっと私の前で、私よりお互いを理解し合う姿をこの目で見なきゃならない。
もしお姉ちゃんが先生と別れたら、私は多分疑心暗鬼で頭おかしくなる。何も信用できない。
二人、どこまでの関係だったんだろう。
キスくらいしたかな。
もしかしたら、少しは体の関係……あったり。
さっきの櫻井くんの眼差しとか指先とか吐息を思い出して、体と心が同時に悲鳴を上げた。
内臓を抉られたかのような痛みに立っていられない。
あの妖艶でうるんだ瞳がお姉ちゃんを見た？
あの優しくて繊細な指がお姉ちゃんを辿った？
あの熱く漏れる吐息がお姉ちゃんを包んだ？
あの力強い腕で抱きしめた？
今までよりずっとリアルに櫻井くんを想像できて、それが凶器になって切りかかってくる。
嫌だ。嫌。
ひいい、って。
喉から微かな悲鳴が漏れた。
痛いよ、体の真ん中が捩れて死んでしまう。
息ができない。苦しい。
体の関係をもって、もっと好きになって、もっと許せなくなるのはどうして。
私の心が狭いのかな。
相手が他の女ならここまで嫌じゃなかった。
きゅ。
シャワーのコックを締めて、借りたタオルで身を包んだ。
寒い。
寒いよ、櫻井くん。
しゃがんだまま、動けなくなる。
自分のこの感受性の強さを、私はずっと持て余してきた。
表現者としてはプラスになったとしても。
生きていく上でこの感受性は、邪魔だ。
私はいつかきっと。
自分の感情が自分を絞め殺す日が来る。
……髪、乾かさなきゃ。
立ち上がってふと鏡の自分と目があった。
今の私の顔、お姉ちゃんと、似てる。
「いやぁ……！」
私はとうとう慟哭した。
「どうした？A？」
櫻井くんが慌てて洗面所に入ってきた。
「ごめんなさ……」
「Aこっちおいで」
櫻井くんが腕を引張って私を抱き寄せた。
痛みと愛おしさが同時に襲いかかる。
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みい(プロフ) - ふと読み始めたら止まらなくなってしまい、最後まで完走してしまいました(明日仕事なのに起きれるのか私…笑) すれ違いに心がキューッと切なくなりながらも、みんながどうなっていくのか読み進めていくことがとても楽しかったです。素敵なお話を有難うございました。 (2022年4月21日 2時) (
レス) @page33 id: d3369a3b66 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 久々にこの話を読みたくなって開いてみたら1ページ目から物語の中へどっぷり入り込んで止まらなくて。初めの方からずっと涙ボロボロでした。この話を映画化してほしい！よしのさん、天才！素敵なお話を読ませて頂いてありがとうございました。 (2021年5月16日 19時) (レス) id: f6253f81d3 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - おすすめに出てきたお話を何気なく読み始めたらまあ面白くて。読み進めるうちに面白すぎて夢中になって一気に読み終わりました。途中でよしのさんの作品でだと気づきやっぱりと思いました。今回もホントに良くて、後半涙が零れました。素敵な作品に出会えて嬉しいです。 (2021年3月18日 21時) (レス) id: 40fb126c86 (このIDを非表示/違反報告)
つ(プロフ) - はじめまして。おすすめ欄にvirtual Loveが出てきて読みはじめたら沼にハマってしまいました。よしのさんの過去の作品いくつか読ませていただきました。読んでるうちにすんなり感情移入してしまってニヤけも涙も止まりません。更新、引き続き楽しみにしてます！ (2020年2月9日 16時) (レス) id: 856fd99ebf (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - 何度目かの読み返しです。でもやっぱり目がパンパンになるぐらい泣きながら読みました。でも、最後はほっこりと暖かい気持ちになれました。ありがとうございました。 (2020年1月24日 18時) (レス) id: 7db8fcf7f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月23日 0時
