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「私達声似てるでしょ、翔くん、すぐ飛び起きてた」
「……」
「櫻井くん、起きて？って言うだけでビクッ！て。紫織かよ……はぁ、てガッカリされて、オイコラ！って肩パンするのが日課」
「……」
「あんまり間違えるから、翔くんって呼ぶことにした、で、翔くんも紫織って」
ああ、確かに言ってた。
呼び間違えてぶん殴られてそこから紫織って呼ぶようになったって。
「お礼にたまにカフェオレおごってもらってた。砂糖多めにできるカップの自販機あるじゃない？おしゃれじゃないやつ！」
「……」
そっか。
……そっか。
でも、もう。
私はもう後戻りできないんだよ。
「翔くんに連絡してあげて。あいつゼッテー拒否してやがる、ふざけんな、何考えてんだアイツって毎日怒ってる」
「あは」
「あの日、やっと俺のものになったのに何してくれんだよってずっと怒ってた」
「……すぐ怒る」
「まさか、Aも好きだったなんて思いもしなかったし、……Aは今寂しいから付き合うことになったって翔くん言ってたから……」
お姉ちゃん、饒舌。一晩中でも話せそうだけど。もう時間が。
「……お姉ちゃん」
「ん？」
立ち上がって部屋を見渡す。
私の逃げ場だった小さいお家は今私の部屋にあって。
私はそれを置いて一人で生きていこうとしてる。
「私。行く。元気でね」
「……何それ永遠の別れみたいな……」
「もう帰らないつもりで行く」
「……何年契約なの？」
「毎年更新。お姉ちゃんの結婚式には帰って来れたらいいな」
「あ、そうだ、A。私先生とは別れようと思ってるから！」
「……うん。お姉ちゃんらしくないもんね、できたらそうしてほしい」
「……翔くんがね、私はいつもキレイで賢くて颯爽といてほしい、そうでないと困るって」
「うん、櫻井くん、そんなお姉ちゃんのこと憧れてるもん」
「違うよ」
お姉ちゃんが私をじっと見た。
その表情はとても美しくて息を飲む。
「Aは姉を誇りに思ってるから、Aに残念な姿を見せてがっかりさせるなって、どこに出しても恥ずかしくない自慢の姉でいてあげてくれって」
「……」
「私……頑張るから。Aも頑張って」
「うん」
荷物を持って玄関に向かう。
お父さんとお母さんが見送る！って言って家の前で車に乗って待ってる。
私が車に乗り込んだら、お姉ちゃんが見送ってくれた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい！」
やはりあなたは。
強くて美しい、私の自慢の姉だ。
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みい(プロフ) - ふと読み始めたら止まらなくなってしまい、最後まで完走してしまいました(明日仕事なのに起きれるのか私…笑) すれ違いに心がキューッと切なくなりながらも、みんながどうなっていくのか読み進めていくことがとても楽しかったです。素敵なお話を有難うございました。 (2022年4月21日 2時) (
レス) @page33 id: d3369a3b66 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 久々にこの話を読みたくなって開いてみたら1ページ目から物語の中へどっぷり入り込んで止まらなくて。初めの方からずっと涙ボロボロでした。この話を映画化してほしい！よしのさん、天才！素敵なお話を読ませて頂いてありがとうございました。 (2021年5月16日 19時) (レス) id: f6253f81d3 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - おすすめに出てきたお話を何気なく読み始めたらまあ面白くて。読み進めるうちに面白すぎて夢中になって一気に読み終わりました。途中でよしのさんの作品でだと気づきやっぱりと思いました。今回もホントに良くて、後半涙が零れました。素敵な作品に出会えて嬉しいです。 (2021年3月18日 21時) (レス) id: 40fb126c86 (このIDを非表示/違反報告)
つ(プロフ) - はじめまして。おすすめ欄にvirtual Loveが出てきて読みはじめたら沼にハマってしまいました。よしのさんの過去の作品いくつか読ませていただきました。読んでるうちにすんなり感情移入してしまってニヤけも涙も止まりません。更新、引き続き楽しみにしてます！ (2020年2月9日 16時) (レス) id: 856fd99ebf (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - 何度目かの読み返しです。でもやっぱり目がパンパンになるぐらい泣きながら読みました。でも、最後はほっこりと暖かい気持ちになれました。ありがとうございました。 (2020年1月24日 18時) (レス) id: 7db8fcf7f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月23日 0時
