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「ん？」
「……彼女できたってのは嘘、ごめん」
「え」
聞き返したら、櫻井くんがこっち来る？って隣に置いたクッションをぽん、と叩いた。
「……」
「飲む？」
「飲む」
櫻井くんが微笑む。
その顔がとても優しくて激しい違和感に駆られるけどそれが何かわからない。
「いただきます」
ふーふーして、一口。
甘めにしてくれてる。美味しい。
じわっと甘さが広がる。
「……実のところ、告白されたけどまだ返事してないんだよね。付き合ってもいいかなーとは少し思ってる」
「……うん」
「だって同じバイト先で振っちゃったらあとが面倒だろ、……避けるのにも限界あるしさ。あ、こっち来る！トイレ行ってきまぁす！とか？」
あは！
つい吹き出した。
避けてる櫻井くん想像してすごいおかしい。
「でもまぁ、断る、今決めた」
「……そっか」
「そう言えば言ってたよな俺。好きでもない人と付き合ったら時間もココロも勿体無いって。よく覚えてるな、A」
「忘れないよ……」
あれれ？目頭がじわっと熱くなる。
嘘でしょ、涙腺おかしくなってる。
「……ん？」
「忘れるわけないよ。私それ聞いて素敵な考え方だなぁって思ったもん」
櫻井くんが私をじっと見た。
「ああそれで……だからお前……ニノに二股でもいいからそばにいてってお願いしたんだな、……ああ、それ切ない……」
櫻井くんがなんだかとても悲しい顔をした。
「……うん」
「自分のこと好きにならなくてもいいからそばにいて欲しいってさ、……ドMかよ……」
「私のこと貶してんのかな？」
「いや、気持ちわかるから」
「……櫻井くんもまだしつこく好きなのね」
「……Aは？まだニノのこと好きなの？」
「二宮くん？」
「うん、元気かなぁ、相変わらずだろうな」
「うん」
櫻井くんが微笑んだ。
「そういえばさ！ほら、相葉くんってしってる？経営にいるやつ」
「わかるかなぁ……櫻井くんと仲良し？」
「あ、うん。たまに講義一緒になる、スタイルのいい……サラサラの茶髪の」
「うーん」
「あいつ、ニノの幼馴染なんだって。高校は事情があって離れたけど大学で一緒になれると思ったらキャンパスがちがーう！って」
「えー！」
あはは！って櫻井くんが楽しそうに笑った。
「……ニノの彼女さ、最初留学の予定一年だったんだよね」
「……うん」
「帰ってきたときの受け入れ先になる高校に通うって言ったんだってニノ」
そっか。
……そんな大好きだったんだ。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月14日 14時
