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「色々……」
「うん色々」
「……お姉ちゃんと先生が寄り戻して悲しかったでしょ……、悲しかったね……」
「……いや、これでよかったんだよ」
「……」
「これでよかったよ……好きなやつと一緒にいれるのが一番だろ」
「そうだね。櫻井くんこのままずっと私と一緒に居たらお姉ちゃんの義弟になれるかもね」
櫻井くんが苦笑した。
「……Aはそれでいいの？俺と結婚するって意味になるけど」
「櫻井くんこそいいの？私だよ？」
「え？Aはほんとにそれでいいの？お前の戸籍そんな感じで適当に汚していいの？」
櫻井くんが、あはは、って乾いた笑いをこぼした。
「櫻井くん、好きな人と一緒に居たいんでしょう？」
「……うん」
「想いが届かなくてもそばに居れればいいんでしょう？」
「うん」
「その気持ちわかるもん」
「……」
「私だって、想いが届かなくても傍にいれればそれでいいかなって思うもん」
櫻井くんの動きが止まった。
え、って小さな声が聞こえた。
「ニノのこと？じゃないよな？会ってないでしょ？」
「二宮くん、元気かなぁ、会いたいなぁ」
「会えばいいじゃん、会いにいけよ」
「もう会えないんだよ、二宮くんと」
「どうして？」
「会っちゃだめなんだよ」
「どうして？」
櫻井くんが、不思議そうに私を見た。
「櫻井くん、もうすぐ会えなくなるだろうから、ホントのこと言っていい？」
「会えなくなる？」
「うん」
「え？」
櫻井くんが困った顔をした。
その顔を見てちょっと、泣きそうになったけどぐっと堪えてあは、って笑った。
「私ね、ドイツ行こうかなと思ってて」
「ドイツ？ドイツのどこ？」
「ハンブルクかな」
「え、待って？どういうこと？何しに？」
「バレエ団にオーディション来ないかって言われたの、アートディレクターさんからお声がかかって、それで」
「え？まって？」
櫻井くんが私の腕を掴んだ。
「私と遠距離恋愛してることにしたらいいよ、浮気し放題でしょ」
「……」
「その間にお姉ちゃんとのこと、頑張ればいいよ、先生から奪っちゃえ」
「……え？何言ってんの？」
「もし仮に先生とお姉ちゃんが結婚しちゃったら私と結婚すればいいのよ、義理の弟にはなれるでしょ」
「……」
「私はもうこの先誰も好きにならないから私のこと利用すればいい、自由に使ってくれたらいい」
「なんだよそれ！」
櫻井くんが大きな声を出した。
ちょっと、ビクッと体が縮む。
「櫻井くんが幸せになればそれでいい」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月14日 14時
