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「どういうこと？」
私が櫻井くんに聞いたら櫻井くんがハッとして何回も頷いた。
「いや、そういうことになってたのかってこと、やっと意味がわかった」
「そういうことって？」
「お前清水先輩覚えてる？サッカー部の」
「清水先輩」
一生懸命思い出してみる。
うーん。
全く思い出せない。
「まっっっったく思い出せません」
「うわー！気の毒！」
「……何が？」
「なんっかいもお前に話しかけてるぞ？」
ねねちゃんと松本くんの話の続きがちょっと気になりながらも櫻井くんの話を聞く。
「いつだろう？」
「一回目は、小泉ってどれ？って一年のときクラスにお前を見に来たとき」
「……」
「俺呼び出されて、Aがたまたま戻ってきて、こいつ、って紹介したら、Aは頭下げて無視して教室入っていった」
「無視って。頭下げてたら無視じゃないよね？」
「ねぇ、って話しかけてるのに無視したぞ」
「聞こえなかったんじゃない？」
「姉と一緒で取り付く島もねーな！って言われたの覚えてないの？」
「知らない」
「あ、そう……。他に」
「他に？」
「小泉サーン！ってお前のこと呼んでたぞ、部室の前から。何回か呼んでる」
「そんなの私が反応するわけ無いじゃん、わたしの名前は小泉妹とAだからね！小泉さんはお姉ちゃんの名前！」
「お前の思い込みやべーな」
櫻井くんが呆然とした。
「そうやって生きてきたんだから仕方ないじゃない、振り向いたら、お前じゃねー、美人の方！とか、妹いらねー！とか言われてきたんだから」
「えー……」
「流石に教室内とか学年のフロアでは小泉さんでも振り向くけど大勢いるときは聞こえない」
櫻井くんが目をぱちくりした。
「お前大変だったんだな」
「慣れてるから平気」
「最後は？」
「最後？」
「先輩が卒業するときお前話しただろ」
「聞いていい？」
「うん」
「その人何学年上？」
「……それすらわかんねーのかよ……」
「一個上？」
「二個上。紫織といっしょ」
「ふーん。で？その人が卒業のとき私に話しかけた？」
「あのときはごめん、って謝ったって言ってたけど覚えてねーの？」
そう言われれば謝ってきた人いたな。
「あの人が清水先輩か」
「やっと思い出したのか」
「清水は何を謝ってたの？意味わかんなくて、人違いかなと」
櫻井くんが呼び捨てすんな！って笑ってる。
「ごめんって言ってんのに、話の途中で去っていったんだろお前」
櫻井くんが殆ど必死にそう言った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月14日 14時
