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「あ、でも、イケメンの彼氏が出来たのうれしいな、ここに愛はなくてもイケメンだから」
「……」
ぼきぼき。
指鳴らしてる。
本気で睨まれてる！
「手繋いじゃおっかな」
櫻井くんの手をぎゅ、って握ったら櫻井くんがぶふ、って吹き出した。
「ふふ」
「……ところで……ツルッと入るものって何？」
櫻井くんが私に真顔で聞いてくる。
「麺類とか？」
「蕎麦？パスタ？」
「ラーメンとか！」
「お前ラーメン食うの」
「食べるよ！大好きだよ！」
「意外」
櫻井くんが目を丸くした。
「どうして」
「紫織が食わないから」
思わず手を解く。
櫻井くんが離した手をはっとして眺めた。
「櫻井くんあのね」
「ん？」
「一つお願いがあるんだけど」
「うん」
「私を紫織と思うのは勝手だけど」
「……」
「私とお姉ちゃん仲悪いの知ってるでしょ、いちいち口に出して比べないでもらっていい？」
「なんで仲悪いの？」
櫻井くんが不思議そうにした。
「櫻井くんがそれを聞くの？」
「へ？」
「みんな私を通して紫織を見るからに決まってんじゃない！私のほうが圧倒的に劣ってるのわかってるのにいちいち比べないで」
「劣ってる？」
「うん、全てお姉ちゃんの圧勝じゃん」
「そう？」
「え？」
「……それが仲悪い理由？」
「違うよ……お姉ちゃんは私のことを嫌いなんだよきっと。冷たいもん」
「……」
「出来の悪い妹嫌いなんだよ……」
「なんかすれ違ってんな、お前ら二人」
櫻井くんが不思議そうにした。
「すれ違ってる……？」
「うん、もっとよく話し合ったら？」
「……やだ」
「……Aはさぁ、卑下し過ぎなんだよ」
櫻井くんが口をとがらせてそう言った。
「……だって」
「だってじゃねーだろ」
「……」
「自分に自信ないかもしれないけどさぁ……お前じゃなきゃ嫌だって奴がいるんだから自信持てばいいのに」
「……そんな人いない」
「は？」
「私じゃなきゃ嫌だって人なんていない」
「いる」
「……いないよ！聞かなかったことにする、もう二度とそんなこと言わないで」
櫻井くんが私をぼーっと見て、は、と笑った。
「なぁA？」
「何」
「……やっぱ、何もない」
櫻井くんがはぁ、と、ため息を吐いた。
「うまいラーメン屋があるから行こっか」
「うん！」
「豚骨ラーメン好き？」
「大好き！」
「ん」
櫻井くんが私の手を取った。
手繋いでる。
「嬉しい！楽しみ！」
私の言葉に櫻井くんがくすぐったそうに笑った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月14日 14時
