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「……櫻井くん？」
「お前さぁ、抱っこして、とか男に言って、抱きしめるだけ抱きしめさせて何にもすんなとか馬鹿だろ？帰れると思ってんの？」
「……」
「俺お前のばーちゃんじゃねーんだけど」
「……櫻井く……」
「ニノの代わりだろ？ってことは別にいいだろ、どうせお前らやりまくってたんでしょ？いいじゃん、目閉じてろよ」
櫻井くんが立ち上がって、私の腕をグッと引っ張った。
なにこれ。
どういうこと？
ねえ？
「え？」
そのままドン、とベッドに押し倒される。
不意打ちで息が止まった。
そのまま櫻井くんにマウントとられて動けない。
「ほら、早く目閉じろって」
「イヤ……」
「嫌、じゃねーよ、何なんだよお前」
「櫻井くん……」
「お前は紫織代わり、俺はニノの代わりだろ？それなら俺別に女必要ねーし、面倒くさいのとは別れるから代わりにやらせろよ」
ガクガクガク、と体が震えた。
櫻井くんの目に怒りに似た光が宿る。
怖い、怖いよ。なにこれ。やだ。
「やだ、やめて」
「うるせーな」
「やだ」
必死に逃げようと櫻井くんの胸を押し返しても全く動かないばかりか。
私のその手を簡単に片手で集めて頭の上で固定された。
振りほどこうとしても動けない。
足が虚しく空を蹴る。
「動くなよ、感情ないとか言ってんだからおとなしく人形になっとけよ」
「……いや、やめて！嫌！」
櫻井くんの右手が私の顎を掴んだ。
動けない。
こんなの嫌だ。
櫻井くんと目が合った。
櫻井くんのきれいな瞳は、たくさんの水分でうるんでいて、キラキラしてる。
きれい。
こんな時なのに。
櫻井くんの瞳が私の唇に視線を向ける。
そっと。私の唇に、唇が軽く触れた。
一瞬だけですぐ離れて、櫻井くんが覆い被さってきた。
やだ、怖い！
「まって、やだ！」
櫻井くんの全体重が私を支配して、手がスカートの中をするりと這う。
櫻井くんの指が太ももをなぞり、下着に手がかかった。
こんなの、嫌だ。
お姉ちゃんを演じるなんて無理だ。
きっと、胸が張り裂ける。
「ヤダ！お願い！やめて！」
涙が、つっ、と流れた。
櫻井くんが、私を見下ろして、私の目から落ちた涙を指でぬぐって少し笑った。
「それだけは、お願い、やめて」
「……」
「……嫌」
「わかった、……ごめん」
「……」
櫻井くんがドサリ、と私の横に寝そべった。
ふー、と大きなため息を吐く。
「……」
「泣いてんじゃん」
そう言って、櫻井くんが私を抱き枕にした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月14日 14時
