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「じゃあ、これで。すみません」
潤くんが私を捨てた。
捨てられたんだ。
潤くんが帰っていく姿を呆然と見送りながら、お母さんが私の頭を撫でた。
「可哀想に」
「……」
「でも仕方ないよね、疑似兄妹ごっこか疑似恋愛ごっこかわかんないけど……いつかやめなきゃいけないでしょ、結婚で離れるとかよりマシじゃない」
お母さんの言葉に引っかかりを感じて聞き返す。
「……疑似恋愛ごっこ？兄妹ごっこ？そう見えてた？」
「うん」
「どうしてそう見えてたの？」
「潤くんいつも優しい自分を演じてたし」
お母さんの言葉に目を上げる。
「え、どういうこと？」
「お母さんは潤くんがちっちゃい頃から知ってるのよ？潤くんの性格とかAよりもっと知ってるよ」
「……どんな性格なの？」
「根は優しいいい子なのは間違いないんだけど、ちっちゃい頃は好きな子いじめるし、うちの花千切るし、口は悪いしでいたずら坊主」
「……」
「Aもよく泣かされてたの覚えてないの？」
「覚えてない……」
「クラスのガキ大将だったし、近所の子も潤くん怖がって悪ガキ同士集まって、可愛い女の子に、うぜー！とかバーカ！とか言ってた」
「……意外」
「お母さんには今の潤くんが意外だよ」
「……」
「Aを大事にして可愛がり始めたのは……優陽ちゃん引っ越して……Aが小1くらいかな」
「優陽ちゃん……」
「うん。潤くんが意地悪してていつも泣かせてた子、初恋って聞いて納得した」
お母さんがリビングに戻りながら話して後ろをついていく。
「ある時ね、潤くんが優陽ちゃんを水たまりに突き飛ばして優陽ちゃん泥だらけになって泣いてて、お母さんたまたまそれ見て連れて帰ってあげたのよ」
「……うん」
「陽向ちゃんも外で一人で遊んでて、おかしいなと思って……ここからは内緒の話ね、もうAも大人だからいいよね」
「……ん？うん」
「玄関のドアがあいてて、家の様子がおかしかった。申し訳ないけどお邪魔させてもらったらお風呂場で優陽ちゃんのママが手首を切って死のうとしてた」
「……」
絶句。言葉が出ない。
「慌てて優陽ちゃんに部屋で着替えておいでって言って見せないようにして、その間にお風呂から引きずり出して救急車呼んで」
「……うん」
「命に別状はなかったけど優陽ちゃんママは入院して、優陽ちゃんと陽向ちゃんは転校しておばあちゃんの家で暮らすことになった」
お母さんが言葉を切った。
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りるまめ(プロフ) - 限りある時間を割いて読むのが私の至福のひとときです♪いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年8月20日 0時) (
レス) id: ac8bd37eaf (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - スーちゃんどうしたのかなってぞわぞわしますね！きっと鳥籠にいるのを見て放してあげたんだろうけど、心境が切ない。。踊るっきゃねーな！ていいですね！とりあえずくるくる回ってみようかな！彼の守護女神様にぜひばちっと結界をお願いしたいです！！！ (2018年8月15日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
キミ(プロフ) - いつもワクワクして拝読しております。そしてモゾモゾしちゃうほどに続きが絶妙に気になる終わらせ方で楽しませていただいております。お誕生日までの完結 楽しみにしてます！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: 18136aec67 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 大切で大切で他人に触れさせたくない、大事な女の子。自分ですら許せない…愛情を拗らせちゃった潤君がいとおしい。 (2018年8月11日 14時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - はじめまして！！実はかなり前からよしのさんのことを知っておりました。私はよしのさんの小説が大好きです。最初はよしのさんの小説で翔くんを好きになりました。今は潤くんに夢中です。よしのさんのお陰で私は今笑ってられています。ほんとにありがとうございます。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 9f20bed09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年7月14日 10時
