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希望の部署？
大阪？
立っていられなくて思わずペタンと玄関に座り込んだ。
「どちらにしても独身寮に引っ越すことは決まってるからその報告。Aとおばさんにはお世話になったから」
「潤くん、お茶飲まない？」
お母さんが私をちらっと見て潤くんに声をかけた。
「今日はいいや、ちょっとバタバタしてる」
「いつ決まるの？」
「正式に決まるのはGW明けかな、今、急に言われてもいいように身の回りの整理してるとこ」
これは現実なのかな。
潤くんは私を置いてどこにも行かないって思ってたけど、そっか、こういう形の離れ方もあったんだ。
「やだ……」
やっと、声が出た。
「ごめんね、A」
「やだ！」
「……A」
「嫌だ、絶対！嫌！」
潤くんが困った顔で私を見下ろした。
「……」
「希望って何？大阪希望したの？なんで？」
「……」
「やだ、絶対嫌。潤くんどこにも行かないって言ってくれたのに！嘘つき！」
「A」
お母さんが私を咎めるような声を出した。
「潤くんどこにも行っちゃやだ！」
涙がぐっとこみ上げてきて、言葉を切った。
「A」
潤くんが私と目を合わせるかのようにしゃがみこむ。
「もう一生会えないってわけじゃないから、もし大阪に決まったとしても、また盆とか正月には帰ってくるから」
「そういう会社じゃないでしょ？ずーっと忙しいとこなんでしょ？新聞社だもん」
「……」
「もう帰ってこないつもりなの……？」
「だからまだ決定じゃな……」
「じゃあ今すぐこっちで働けるとこに希望変更して！」
「A」
「無理なら私が大阪ついて行く」
「何馬鹿なこと言ってんの」
「潤くんずっと一緒にいるって言ってくれたじゃない！」
お母さんが私達を呆然と見下ろしてる。
お母さんたちは知らない。
恋愛以上の何かの感情が私達の間に生まれて、それが育って引き離すことができないくらい絡みついて解けなくなってることなんて。
きっと、気づいていなかったんだ。
離れるなんて無理だ。
潤くんが振り返ったらいつもそこにいてくれると知ってたから私はちゃんと前を向いていられたんだよ。
潤くんがいない世界なんてもう歩けない。
潤くんのいなくなることよりも、潤くんが私を見限ったんだ、という事実が、じわりじわりと心を侵食していく。
「……私、もう、いらなくなっちゃった？」
「……うん」
潤くんの発した言葉は私の心を突き刺した。
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りるまめ(プロフ) - 限りある時間を割いて読むのが私の至福のひとときです♪いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年8月20日 0時) (
レス) id: ac8bd37eaf (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - スーちゃんどうしたのかなってぞわぞわしますね！きっと鳥籠にいるのを見て放してあげたんだろうけど、心境が切ない。。踊るっきゃねーな！ていいですね！とりあえずくるくる回ってみようかな！彼の守護女神様にぜひばちっと結界をお願いしたいです！！！ (2018年8月15日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
キミ(プロフ) - いつもワクワクして拝読しております。そしてモゾモゾしちゃうほどに続きが絶妙に気になる終わらせ方で楽しませていただいております。お誕生日までの完結 楽しみにしてます！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: 18136aec67 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 大切で大切で他人に触れさせたくない、大事な女の子。自分ですら許せない…愛情を拗らせちゃった潤君がいとおしい。 (2018年8月11日 14時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - はじめまして！！実はかなり前からよしのさんのことを知っておりました。私はよしのさんの小説が大好きです。最初はよしのさんの小説で翔くんを好きになりました。今は潤くんに夢中です。よしのさんのお陰で私は今笑ってられています。ほんとにありがとうございます。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 9f20bed09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年7月14日 10時
