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流石に私達がお見舞いに同行するのはおかしいだろう、ということになって、香川先生を見送って別れる。
「帰ろう」
潤くんが私にそう言って、ん、と頷く。
「潤くん、お花のこと詳しかったのね、知らなかったなぁ」
「ちょっと調べる機会があって」
「そっか、潤くんもお花大好きだもんね？」
「うん、……好き」
それ以上は聞かないことにした。
けど家に帰ったらすぐに調べなきゃ、という焦りで背中に汗がじっとり滲む。
白いキキョウ。
青いヒヤシンス。
ピンクの胡蝶蘭。
黄色いガーベラとピンクのスターチス。
そして、この色珍しいでしょ？ってバレンタインのお礼にくれた薔薇は。
たしかブラックバカラって言ってた。
『アザミは復讐、黒百合は呪いとかそういう花言葉もあるから、人に花を贈るとき……』
潤くんのあの言葉の続きは。
人に花を贈るときは、その花のもつ意味もちゃんと確認しておかないとね
きっとそう言いたかったんだろうけど、その言葉を飲み込んだ理由は？
潤くんの横顔を見つめる。
すぐに気づいて、ん？って微笑み返してくれる。
いくら私が馬鹿でも気づく。
潤くんは、私のことがとてもとても大好きなんだってこと。
「星、なかなか見に行けないな」
潤くんがそう呟いた。
「潤くんは就職決まって、私も大学決まったらだねー」
「春かな」
「春なら星より見に行きたいものがあるよ！」
「何？」
「桜の絶景、きれいな花筏を画像でみたの」
私の言葉に潤くんは目を細めた。
「花筏？」
「ピンクの絨毯」
「いいな」
そう言って、ふ、と微笑んだ。
「いつか行きたいな、枝垂れ桜のライトアップとか」
「うん」
潤くんが私を見下ろして、いつかね、って小さな声で繰り返した。
いつかなんてこないよ、みたいな顔で。
潤くんと別れて家に帰ってすぐ花言葉を調べてみた。
白いキキョウは『永遠の愛』
青いヒヤシンスは『変わらぬ愛』
ピンクの胡蝶蘭は『あなたを愛します』
ピンクのスターチスは『永遠に変わらない』
赤い薔薇は『あなたを愛しています』
ブラックバカラの薔薇は。
『貴方のすべては私のもの、束縛、貴方を呪う、貴方に永遠の死を、永遠の愛』
なにこれ。
潤くんは、私のことが、好きなんだ、きっと。
だけどそれは恋じゃなくて？
じゃあ、これは、なに。
こんなに暑いのに、背中がすうっと寒くなる。
私に永遠の死か、永遠の愛を？
……潤くんがわからない。
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りるまめ(プロフ) - 限りある時間を割いて読むのが私の至福のひとときです♪いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年8月20日 0時) (
レス) id: ac8bd37eaf (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - スーちゃんどうしたのかなってぞわぞわしますね！きっと鳥籠にいるのを見て放してあげたんだろうけど、心境が切ない。。踊るっきゃねーな！ていいですね！とりあえずくるくる回ってみようかな！彼の守護女神様にぜひばちっと結界をお願いしたいです！！！ (2018年8月15日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
キミ(プロフ) - いつもワクワクして拝読しております。そしてモゾモゾしちゃうほどに続きが絶妙に気になる終わらせ方で楽しませていただいております。お誕生日までの完結 楽しみにしてます！ (2018年8月15日 20時) (レス) id: 18136aec67 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 大切で大切で他人に触れさせたくない、大事な女の子。自分ですら許せない…愛情を拗らせちゃった潤君がいとおしい。 (2018年8月11日 14時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - はじめまして！！実はかなり前からよしのさんのことを知っておりました。私はよしのさんの小説が大好きです。最初はよしのさんの小説で翔くんを好きになりました。今は潤くんに夢中です。よしのさんのお陰で私は今笑ってられています。ほんとにありがとうございます。 (2018年8月8日 0時) (レス) id: 9f20bed09a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年7月14日 10時
