おんぶ ページ35
「お前おぼえとけよ……お前の部屋のあのポスターのメンバー全員の鼻の穴に画鋲刺してやる」
「ぎゃー！やめて！」
「いや、お前の留守中に絶対刺してやる」
斗真が睨みながら言ってきた。
負けない！
「じゃあ私も斗真の部屋の本棚の裏に隠してあるセクシーな雑誌リビングに貼ってやる」
斗真が口をあんぐり開けた。
「なんで隠し場所知ってんだよ！」
「昔から点数低いテスト用紙とか本棚の裏に隠してるじゃん！」
「あーあー、じゃあ言ってやろーっと！お前の秘密の隠し場所は幼稚園の卒業アルバムの箱の中！」
「……何で知ってんの！」
「ちょっとストップ！その犬も食わない喧嘩、家でやれって！」
櫻井先輩が呆れてそう言った。
山田先生の存在忘れてないけど忘れてた。
先生は斗真の顔を見て、寂しそうな顔をした。
「……続きは帰ってからね斗真！覚えときなさいよ！」
「お前悠長にクラブ行ってていいのかなー！」
「斗真こそそんなことしてどうなるかわかってんでしょうね」
「てめえ」
斗真が私の太ももをかるーく蹴った。
「いったー！骨折れたーーー！」
「だからストーップ！」
櫻井先輩がまたそう言った。
先生のため息が聞こえた。
「中津くんには……お似合いの素敵な子がいるのね……」
先生の言葉。
斗真がどこか痛むように目を閉じた。
見てらんない。逃がす！
「ちょっと！骨折れた」
「Aうるせー」
「保健室までおんぶしてよ！」
「うるせー」
「おんぶ！」
「あーもー……ほら来い」
斗真が先生に背を向けた。
私も先生をチラッと睨んでから斗真の背中にドカッ！と乗る。
「重てえ……」
「しーらない」
斗真が歩き出す。
しばらく歩いて階段の前に差し掛かったとき、斗真が、なぁ？って私に声をかけた。
「ん？」
「サンキュ、A」
斗真が、泣きそうな声で言う。
「……斗真……」
「お似合いの素敵な子がいるのねって言った時の先生の顔見た？」
「うん」
「たぶん……先生は俺に優しくしてほしかっただけで旦那と別れる気なんてなかったんだよな……」
「……」
「俺、先生に頼られて、俺はそれを気持ちよく思ってただけだったんだよな。だからこれは、恋愛感情じゃなかった」
「よくわかんないけど、自分の気持ち否定しなくていいよ」
背中から降りたら、斗真が私の頭をパコンと叩いた。
「斗真」
櫻井先輩の声がして振り返る。
「……あ」
「帰ろ」
櫻井先輩がとびきり優しい顔で微笑んだ。
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すりおろし梨。(プロフ) - なぜか 思い立って読み返してます。 ドS櫻井と不器用娘(笑)最高！（≧∇≦） ややこしくて 最高！(笑) (2018年12月9日 11時) (
レス) id: b0f0c1d0a8 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 朝から幸せを噛み締めてます！更新嬉しい！移行更に嬉しい！長めになりそうだなんて…よしのさん朝からヨダレ出そうになりました♪移行先に行こう♪←5点by深山くん (2018年2月20日 6時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 修羅場に泡泡しつつも、いいぞ、もっとやれ！とも思ったりして。櫻井先輩が気付きそうで気付かないのがたまりません！現代に戻るのも楽しみなんですが、バンビな先輩をまだまだ堪能したい！悩ましい！ (2018年2月8日 8時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - あゎゎゎ(゜ロ゜;修羅場だぁ(@￣□￣@;)！！ (2018年2月8日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - はぁぁ。就寝前によしのさんのお話を読めて幸せです。またまた素敵なお話ありがとうございます！テンションあがります！キラキラした櫻井先輩がリアルに頭の中で想像できますし、しかもS！…ツンデレ最高です。 (2018年2月8日 0時) (レス) id: 8c75b9e91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
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作成日時：2017年12月13日 13時
