優しいだけ(02/10) ページ34
「A、こんなとこに居……」
斗真が絶句して立ち止まる。
「何……してんの……」
斗真の目がゆらりと揺れた。
「……」
「翔くんも、なにこれ」
斗真が、笑おうとして、失敗した。
「……昨日、俺、先生と斗真が二人で居るところ見ちゃったんだよね？」
櫻井先輩がそう言い出してギョッとする。
「うそ……」
「車乗ってるとこ見た。斗真じゃん、って気づいた。見られたの俺でよかったよ、他の奴なら今頃噂になってただろうな」
「……」
「で、何か知ってそうなAにホントのこと聞き出した」
「……そっか」
「ごめんなさい」
素直に謝る。
「いや、いいよ、……翔くんには、隠しても無駄だって薄々気づいてたし」
櫻井先輩が何回か頷いて、斗真をじっと見て言った。
「で、今。Aが先生に、斗真が幸せならそれでいいけど、斗真を傷つけたら一生許しませんって言ったとこに斗真が来た」
「え、A」
斗真が私を見て、苦笑いした。
「ごめんなさい……」
「いや、……俺が……逆の立場でもそう言うと思うよ、うん」
「……」
「例えば……お前が。奥さんのいる先生に片想いしてたとして？その先生に思わせぶりな態度とられてたら、俺その先生のこと一生許さねぇ」
「……斗真」
「……Aが幸せならそれでいいけど……そんな奴と一緒にいて幸せになれるわけねーだろ、って怒ると思う、わかってんだって俺も」
斗真が苦笑いして先生の方を見て言った。
「先生は俺のことなんとも思ってなくて、寂しくて優しくしてほしいだけだって知ってたよ」
「……」
「その傷もさ……DVじゃなくて……自傷だって気づいてた。それでも騙されたフリしたよ、だってほっとけねーじゃん、自分大事にしてよ」
「……中津くん」
「俺馬鹿だから……そういうのすぐコロッと行っちゃうんだも……」
「斗真は馬鹿じゃないよ！優しいだけ！」
思わず大声で否定した。
そういうことなら、斗真は守ってあげたいって思うタイプだもの。よく知ってる。
櫻井先輩が私を見上げて、はは、って声を出さずに笑った。
「俺優しい？」
「斗真は優しい！馬鹿かな？って思うくらい優しい！だから馬鹿じゃない」
「おっまえさぁ、それ馬鹿にしてるだろ」
「してないよ馬鹿！」
「馬鹿っていってるじゃねーか！」
「馬鹿に馬鹿って言わないよ馬鹿！」
斗真が私に近づいてきて、目の前でムー！ってしかめっ面をした。
負けずにしかめっ面！
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すりおろし梨。(プロフ) - なぜか 思い立って読み返してます。 ドS櫻井と不器用娘(笑)最高！（≧∇≦） ややこしくて 最高！(笑) (2018年12月9日 11時) (
レス) id: b0f0c1d0a8 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 朝から幸せを噛み締めてます！更新嬉しい！移行更に嬉しい！長めになりそうだなんて…よしのさん朝からヨダレ出そうになりました♪移行先に行こう♪←5点by深山くん (2018年2月20日 6時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 修羅場に泡泡しつつも、いいぞ、もっとやれ！とも思ったりして。櫻井先輩が気付きそうで気付かないのがたまりません！現代に戻るのも楽しみなんですが、バンビな先輩をまだまだ堪能したい！悩ましい！ (2018年2月8日 8時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - あゎゎゎ(゜ロ゜;修羅場だぁ(@￣□￣@;)！！ (2018年2月8日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - はぁぁ。就寝前によしのさんのお話を読めて幸せです。またまた素敵なお話ありがとうございます！テンションあがります！キラキラした櫻井先輩がリアルに頭の中で想像できますし、しかもS！…ツンデレ最高です。 (2018年2月8日 0時) (レス) id: 8c75b9e91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
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作成日時：2017年12月13日 13時
