知ってた？ ページ22
「……斗真、いねーじゃん」
櫻井先輩が近づいてきて私を見下ろした。
「ですね」
「なんで？」
「もう帰ったのかな！私も帰ろ！」
「待った」
櫻井先輩が逃げようとした私のカバンをくん！と引っ張った。
「なんですかぁ」
「なぁ」
「はい」
「斗真の好きな奴ってほんとにお前？」
ドキドキドキドキ。
やっぱりおかしいと思われるよね？
私も思うもん。好きな人に対する態度じゃないもん！
「た、ぶん……？」
「……」
「えへ？」
「……なんか隠してるだろお前」
なぜ私が脅されなきゃなんないんだ。
怖いよう。
でも、守ってあげなきゃという妙な使命感。
「私は……斗真のこと何とも思ってなくて……むしろチャラいのは嫌い……」
「それも何か変な感じする」
「え？」
「俺には、お前が斗真をすげー大事に思ってるように見える、恋愛感情じゃないにしろ」
……櫻井先輩鋭い。
でも、誤魔化さなきゃ。
「……」
「お前……」
「あ！」
やばい！やばいやばい！
斗真が本屋から出てきた！
しかも！後ろから！あの先生らしき人も一緒にいる！帽子とマスク！奇しくも私と同じ変装！もっとちゃんとやれ！！！
「ん？」
「先輩行こう！」
もういい。
先輩の視界から斗真を消すのを先決する！
先輩の腕を引っ張って歩こうとしたら腕を振り払われて、先輩はパッと振り返った。
私の視線の先に気づいたんだ！
櫻井先輩ってなんか凄い鋭くない？
賢いってホントなんだ！
「……斗真？」
ああもうだめだ。
斗真が女の顔を覗き込んで、何かなだめてるように見える。
斗真が困って渋ってる女の腕を掴んだ。
「だめだよ中津くん」
「でも泣いてるの放って置けるわけねーじゃん」
声が聞こえる。
やばい、見つかる！
そのとき、櫻井先輩が私をすごい勢いで引っ張った。躓きそうになった私を抱き寄せるようにして、頭を抱えて、こっち！と小声で言った。
「わ」
「しー！」
本屋の横の花屋さんの物陰に隠れて、櫻井先輩が斗真の方を見た。
「あれ、斗真と一緒にいるの……音楽の山田先生じゃね？」
「……」
「絶対そうだ」
櫻井先輩が私を見下ろした。
「知ってた？」
「何を？」
「俺は薄々気づいてた。山田と斗真が目配せしてるの見かけたこともある」
「……」
「お前知ってたんだろ」
「……斗真のこと許してあげてほしい」
「……」
「櫻井先輩は……不倫とか嫌いでしょ？」
「嫌いっていうか馬鹿でしょ」
櫻井先輩が吐き捨てた。
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すりおろし梨。(プロフ) - なぜか 思い立って読み返してます。 ドS櫻井と不器用娘(笑)最高！（≧∇≦） ややこしくて 最高！(笑) (2018年12月9日 11時) (
レス) id: b0f0c1d0a8 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 朝から幸せを噛み締めてます！更新嬉しい！移行更に嬉しい！長めになりそうだなんて…よしのさん朝からヨダレ出そうになりました♪移行先に行こう♪←5点by深山くん (2018年2月20日 6時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 修羅場に泡泡しつつも、いいぞ、もっとやれ！とも思ったりして。櫻井先輩が気付きそうで気付かないのがたまりません！現代に戻るのも楽しみなんですが、バンビな先輩をまだまだ堪能したい！悩ましい！ (2018年2月8日 8時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - あゎゎゎ(゜ロ゜;修羅場だぁ(@￣□￣@;)！！ (2018年2月8日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - はぁぁ。就寝前によしのさんのお話を読めて幸せです。またまた素敵なお話ありがとうございます！テンションあがります！キラキラした櫻井先輩がリアルに頭の中で想像できますし、しかもS！…ツンデレ最高です。 (2018年2月8日 0時) (レス) id: 8c75b9e91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
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作成日時：2017年12月13日 13時
