見張り ページ21
翌日。クラブを休むのは、母のお遣いってことですんなり通ったけど、問題は斗真だ。
昨日、クラブは休むけどお遣いがあって出かけなきゃいけなくなった、ってラインしたけど既読スルーされたし。
仕方なく、変装することにした。
私優しい。斗真に甘い。
学校が終わったら、ポストに書類が届いていた。家に帰ってお母さんの服を借りる。
いわゆるおばさんっぽい格好。
これも友達にあっても気づかれないようにするためという涙ぐましい努力！
帽子をかぶってマスクを装着。
まぁ、花粉症のフリでなんとかなるかな。もうすぐ6月だけど。
光の速さで母の職場に行き、さっさと用事を終わらせて、お遣い料の500円貰って家に帰る途中、どうしてもどうしてもチョコレートが食べたくなった。
食べたい。けど。
……チョコ買うくらい、いいよね！
中学時代の同級生ともすれ違ったけど気づかれなかったことが私の気を大きくした。
私の行きつけのドラッグストアでチョコを選んでレジに向かおうとしたら『オイ』って呼ぶ声がした。
私じゃないよね、とそのままスルーしたら、
「オイそこのチビ！」
と言われたんだけどこの声は絶対櫻井先輩だ。
ヤバイ。ヤバイよ。知らん顔して逃げよう。
「A、何無視してんだよ！」
なんで私ってわかるんだ！
「……」
そおっと振り返る。
櫻井先輩が制服のポッケに手を突っ込んで、見下すみたいに睨みながら近づいてくる。
怖い！
「お前今日斗真と待ち合わせじゃなかった？まさかすっぽかすつもりかよ？」
「すっぽかさないよ！」
「今から行くっての？もう今から行っても遅刻だぞ？」
「……だよね、今から行くよ、お母さんにお使い頼まれてたの」
「あ、そ。お前が逃げねーか見張ってるやる、ほら、行け」
「え」
「後ろからみてるだけだから気にすんな、ほら行けって」
「……何時に……どこでしたっけ……」
「ハァ？」
櫻井先輩が吠えた。怖い。
「あわわ！ごめんなさい！」
「５時に櫻書房の前！バカはこれだから！」
「すみません…」
まずいぞ。まずいまずい。
とにかく５時に櫻書房の前まで行かないと。
だって律儀に見張っていらっしゃる。
仕方なく駅に向かって歩き出す。
どうしよう。
とりあえず斗真にライン送らなきゃ。
『櫻井先輩に見つかったから
とりあえず櫻書房に向かうよ』
…………………………。
既読にならない！！
ドキドキしながら櫻書房の前に来たら、斗真はいなかった。ほっと胸を撫で下ろす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3751人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すりおろし梨。(プロフ) - なぜか 思い立って読み返してます。 ドS櫻井と不器用娘(笑)最高！（≧∇≦） ややこしくて 最高！(笑) (2018年12月9日 11時) (
レス) id: b0f0c1d0a8 (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 朝から幸せを噛み締めてます！更新嬉しい！移行更に嬉しい！長めになりそうだなんて…よしのさん朝からヨダレ出そうになりました♪移行先に行こう♪←5点by深山くん (2018年2月20日 6時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 修羅場に泡泡しつつも、いいぞ、もっとやれ！とも思ったりして。櫻井先輩が気付きそうで気付かないのがたまりません！現代に戻るのも楽しみなんですが、バンビな先輩をまだまだ堪能したい！悩ましい！ (2018年2月8日 8時) (レス) id: 655436c39b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - あゎゎゎ(゜ロ゜;修羅場だぁ(@￣□￣@;)！！ (2018年2月8日 7時) (レス) id: 3ed79bfe04 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - はぁぁ。就寝前によしのさんのお話を読めて幸せです。またまた素敵なお話ありがとうございます！テンションあがります！キラキラした櫻井先輩がリアルに頭の中で想像できますし、しかもS！…ツンデレ最高です。 (2018年2月8日 0時) (レス) id: 8c75b9e91c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月13日 13時
