〇≠無の証明[番外編] (ページ8)

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皆が幽霊が住み着いていたあの屋敷を思い出してる中、大野さんが口を開いた。

「で？今日はどうした？」
「あ、はい。僕今、映画の撮影中なんですけど」
「重要な役なんでしょ？山本社長から聞いたよ」
「はい……ヒロインの弟なんですけど……俺サッカーできないのにサッカーのキャプテンで苦戦してます」
「練習付き合うよ？」
「俺も付き合える」

櫻井さんと松本さんがサッカーと聞いてちょっと嬉しそうにした。

「バスケとか野球なら付き合えたのにー！ねー、ニノ」
相葉さんがそう言ってざんねーん！って言ってる。二宮さんは小声で、ワタシバスケシナイって言った。

大野さんからは『釣りなら』という声が聞こえてきてギョッとした。聞こえるの珍しい。

「で、あの、実は、撮影所のスタジオがあって……その中に主役の家のセットと、教室のセットがあって……」
「うん」

二宮さんがカタカタ、とパソコンを叩いた。

「何処の撮影所？」
紫音くんが撮影所の場所を言ったらみんなあーあーあー、と声を出した。
都内のかなり大きいところだ。

「紫音くんのおうちにも近いよね」
相葉さんがそう言った。

「あ、はい」
「そこに……幽霊が？」
櫻井さんが怪訝な顔して聞く。

「幽霊……なのかなぁ……僕は、前に本物をみたということになりますよね？」
「そうだね」
松本さんがニコッと微笑んだ。

「だから違和感があって……」
「違和感？」
「つまり……ええと……」
紫音くんが、言葉を切った。

「その幽霊は偽物のように……つまり誰かの仕掛けのように感じる？」
櫻井さんがそう言葉を促す。

「あ、はい、おじさんの仕掛けた心霊現象と似てる気がします」
「……うーん」
「あの……Aさんがアンナさんに乗っ取られたときとか、視点が合わなくて……光の粒が体から出てるような感じで、寒くないのに鳥肌がぞわって来たんです」
「私の体から光の粒？もしかして女神様が降臨したときみたいな感じ？」

私が近くにいた相葉さんに聞いたら、相葉さんがうん、って頷いた。

「それ以外でも、なんというか……嫌な予感というか……ぞわっとする……うまく言えない」
「うん」
「そういうのがないんです、あの家で感じたような冷気は残ってない、だからえっと」
「生きてる人間の意思を感じるってことか」

櫻井さんが紫音くんの心を表面だけさらりと読んだ。

「そうです」
紫音くんがきっぱりとそう言った。