〇≠無の証明[番外編] (ページ7)

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『恋の声』(04/04) ページ7

「あ、紫音くんからメールが来た」

私がそう呟いたら零課の皆がバッ！と私を見た。

最近変な依頼ばかりで、しかもどれも勘違いとか思い込みとかで退屈してたってのもある。
皆が一斉にはぁー！とため息を吐いた。

「青少年保護育成条例違反で逮捕する」
櫻井さんが真顔でそう言った。

「ん、15時14分」
二宮さんもそう言った。

「違うの、今から来るって」
「デート？仕事サボってデートすんの？やるぅAちゃん」

相葉さんがあはは！って笑いながら椅子にのけ反ってくるーんと回った。

「違うよ違う！」
「紫音くん？どうした？何かあった？」

真面目に聞いてくれるのは松本さんだけだ。
私の癒やし。

「言っとくけど松本くんもだめだぞ」
いちいち牽制してくる櫻井さんがとっても面倒くさい。

「相談があるんだって」
「相談？」

松本さんが私に近づいてスマホを見る。

「撮影所に幽霊」
「え？」

やっと二宮さんがニヤニヤをやめて私の顔を見る。

「幽霊？どこで？」
「映画の撮影してるみたいなんだけど……もうすぐ来るよ、大野さんは？」
「大野さんももうすぐ帰ってくる」

三時半に伺います、と書いてあったメールのとおり、ぴったり30分に紫音くんと大野さんが入ってきた。

花子さんがドアの前で紫音くんを見て黄色い歓声をあげた。

「紫音くん！さらに綺麗になってる！ケーキ食べる？」
「お久しぶりです、ありがとうございます」

きれいに微笑んで、私達を見た。
キラキラしてる。超キラキラ。

「うん、キラキラ」
櫻井さんが私の心の声に返事した。
やめて。

「お忙しいところお時間頂いてすみません」
「いや、暇だったからいいよ」
「そうそう」
二宮さんと松本さんがそう答えて、ニコニコ笑い合ってる。

あはは、って笑ってる櫻井さんと相葉さん。
ふわふわ微笑んで頷いてる大野さん。

「きれいな光景ねぇ」
花子さんがしみじみとそう言った。
たしかに。顔面偏差値だけで言ったらどの県警にも負けないわ。

「Aさん、お元気ですか？」
「元気よ、相変わらず」

私も紫音くんにつられて微笑む。

「Aさんはあれからアンナさんの聞こえたりしますか？」
「もう全く。紫音くんは……タケオさんはどうなった？」
「おじさんは弁護士からあの土地の査定価格と固定資産税の詳細を聞いて諦めたそうです」
「でしょうね、紫音くんも大変ね」
「弁護士に家賃収入なんかでやりくりしてもらってます」

紫音くんが困ったように微笑んだ。