〇≠無の証明[番外編] (ページ6)

今日:25 hit、昨日:6 hit、合計:547,475 hit

5 ページ6

女神さまが睨んでる。
松本さんはとうとう机の下に隠れた。
地震じゃないんだから！

ギリギリ。
睨み合う。

「色魔ごときが我が背に触れられるわけがなかろう」
「だとしても大野さんがいたら私でも触れるんでしょう」
「ああ、あの魔王……」
「魔王？」
「奴は苦手じゃ……」

女神さまががため息を吐く。
それがゾクッとするくらい美人で怖い。

「大野さんの横で二宮さんと色魔が取り憑いた私がいちゃつくかもしれないでしょ！」
「……」
「二宮さんはね！女神様に弾かれない女なら誰でもいいくらいご無沙汰なんだから！たとえ私でもすぐ手を出すわよ！」

そこにいた全員がぶふう！と吹き出した。

「お前吹き飛ばしてくれる！」
二宮さん、つまり女神様が怒りを露わにした。

「その前に色魔を追い払って！」
「もうとっくの昔に消え失せたわ！」
「あ、消えた？よかった！万が一私が二宮さんにしなだれかかったらどうしようかと思った！絶対に嫌よ！」
「……我が背を……馬鹿にしたな……」
「そのほうが都合いいんでしょう？」
「……」
「二宮さんだって私なんか嫌でしょ！」

「Aちゃん……」
相葉さんの困ったような笑い声。その途端、二宮さんがガクン、と椅子に座る。
あれ？女神様消えた？

お客さんの田中さんは呆然としてる。

「お前女神様利用するなよ、罰当たるぞ」
櫻井さんが丸い目をもっと丸くして言った。

「じゃあ櫻井さんが取り憑かれなさいよ！」
「や」

「つまんないーつまんないー……」
二宮さんがブツブツ言ってる。

「何が！」
「Aでもいいくらいご無沙汰って俺が言いたかった……なんで自分で言うのよ……」
「何この人！」

振り返ったら、ばち！っと田中さんと目が合う。

「……あ、お騒がせしてすみません」
「えっと……あの」
「ご相談でしたね！山本社長に付きまとわれてるとか！」
「……と、思っていたのですけど……気のせいかもしれないので……また改めます……」

田中さんが首を傾げながらそう言って、何度も頭を下げて帰っていく。

「色魔が落ちて目が覚めたかな……」
松本さんが呟く。
「一件落着？だよね？」
櫻井さんが首を傾げた。

ちょうどそのタイミングで大野さんが帰ってくる。

「ただいま……今のお客さん？わ！部屋なんで散らかってんの！」
「遅いよ……」
「ほら片づけて。ラーメン注文するよ」

皆がふ、と微笑み合った。

……今日も、いつもの零課です。