〇≠無の証明[番外編] (ページ21)

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「……え」
「どうぞ、ってお誘いしないと部屋に入れないはずなんだよね、ニノが結界張ってるから」
「……」
「よりによって、三人もいて三人ともどうぞって言っちゃった感じ？」

松本さんがくすくす笑ってる。

「まさか高山さんは……」
「高山さんっていうの？翔さん、死亡届の方に高山さんの名前あるよ多分」
「……マジか」

松本さんがアイスコーヒーを自分で淹れて椅子に座って椅子をクルーンと回してフフンと笑ってる。

私は冷や汗が止まらない。
これどうするの？
二宮さんに祓ってもら……、でも祓うっていうのはいきなり斬りかかるようなもんだと前言ってたな、そういや！

櫻井さんが立ち上がってそおっと二宮さんの後ろに逃げた！

二宮さんが、ん？どうした？って顔で櫻井さんを見上げてる。

「A、その人そう見えて88歳！」
櫻井さんが二宮さんの後ろから声かけてきた。

「はっ？」
「2ヶ月前に心不全で亡くなってる！」
「……」

相葉さんが手を叩いて笑い転げてるけどそんな場合じゃない！

「えっと、高山さんの困りごとってまさか」
「はい、道に迷ってしまって……あ！」

「ただーいまー」
大野さんが帰ってきた。
大野さんが扉を開いた瞬間、その高山さんが私達に向かって頭を下げて、すうっと消えていった。

「……な、何今の」
「あれ？お客さん来てたの？」
「今帰っていったね」

松本さんがこともなげにそう言った。

「ふーん。次の捜査、ちょっと面倒なことになりそう。ミーティングいい？」
大野さんが言う。

松本さんが、さっきまで高山さんが座ってた場所のコーヒーを退けてソファに座る。

「ちょ、ちょっとまって！」
「ん？」
松本さんが不思議そうに私を見る。

「なんで消えたの？」
「大野さんが来たから」
「大野さん何者なの？」
「さぁ？こないだニノの女神様は大野さんを魔王って言ってたんだっけ？」

「もしかして……女神様は……閻魔王、って言ったのかも……」

【閻魔は仏教、ヒンドゥー教などでの地獄、冥界の主。日本の仏教においては地蔵菩薩の化身とみなされ同一視されている】

さっきの資料がふと頭をよぎる。

「ほらA、こっち来い」
大野さんがそう言った。

「相葉さん、櫻井さん、あの」
私の顔を見て櫻井さんがフフ、と笑った。

「夢見てたってことにしよ」
「そだね」
櫻井さんと相葉さんが笑いあった。

……まあいいけど……。

大野さんがまた、ふあああ、と欠伸をした。