〇≠無の証明[番外編] (ページ11)

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「……」

やっべ。めちゃくちゃキレーじゃん。

櫻井さんの意思が頭にズン！と響いた。
え？

よく見ると女の子の横に黒瀬ユイがいる。

二人が微笑んで櫻井さんと松本さんに頭を下げた。

「……」

……はぁ、マジか。超きれいで超可愛い。

……なんだこれ。
こんなに聞こえるの！
恋愛含む感情ってこんなダイレクトに聞こえてくるんだ！なるほど！そりゃ嫌だわ！

こないだの依頼人のきゃーきゃーも酷いと思ったけど、恋愛含む感情がこんなうるさいとは！

「宜しくお願いします」
二人が頭を下げた。
なるほど。超絶美形の兄弟の話なんだな。
父親役の役者さんも美形だもの。

美しいことが幸せかどうかを問うテーマなんだな、なるほどね。

……なんかいい匂いもするし……可愛い……

ぎゃわわ！うるさい！
うるさいよ！って心の中で声かけても聞こえない！嘘だ！マジか！

「ポーッとしてんじゃないわよ！」
ぱし！と腰のあたりを叩いたら櫻井さんが私を見た。

「読んだな！」
「聞こえてくるののよ！うるさいよ」
「……なるほど！やっと俺の気持ちがわかったか！お前が松本くんを見て素敵だなぁっていうのいちいち聞かされてるんだぞ俺は」
「仕方ないでしょ！櫻井さんも今松本さんの気持ち読んでみてよ！」

……見た感じ……何か憑いてるようにも見えないし……霊の気配も感じない……どういうことだ？

「……真面目だな」
「美しい人を見てもいちいち心動かされず職務を全うする松本さんが素敵なんだから仕方ないでしょう！」
「松本くんはいつもそう」
「美しいものを見慣れてるのね、自分の顔で免疫がある」
「そういう問題か？」

「ちょっと二人いちゃついてないで捜査」
松本さんがそう言った。

「ありえねぇ！やめて！」
櫻井さんが大声で否定した。
先に言われてむかっと来る。

「新道さん、東城です、少しいいですか？」
仕事仕事。
割り切って仕事をしようとしたら、櫻井さんが黒瀬さんですね？いつもテレビで拝見してます、とかデレデレした。

綺麗だなぁ……白くて……目が大きくて……とかいう感情が伝わってきてめちゃくちゃうざい。

「櫻井さんは他のことやれ」
「へっ！」
「うるさいのよ！」
「何が！」
「黒瀬さんにデレデレしてんじゃないわよ！」
「おま……黒瀬さんの前で何言ってんだよ」

あたふた。
ああ、ぶん殴りたい。

「松本さん！櫻井さんに代わって！うるさくて耐えられない！」
「はいはい」

松本さんがニヤニヤした。