ん ページ30
「俺が、嫌われてたわけじゃないのね？」
「嫌いなのは、大川って子」
「大川かぁー、あいつめー！」
知り合いみたいに言ってる。
ちょっと笑えて涙を拭った。
「と、木下の二人。ほんとに嫌いなのは木下の方」
相葉くんが動きをピタリと止めた。
「大川と木下？」
「うん」
「そいつら二人幼なじみ？バンドやってた？」
「……うん」
「あ！Aちゃんって風山だったよね？」
「……まさか……」
「俺知り合いだ！」
あはは！と相葉くんが笑った。
「え」
血の気が引く。
「Aちゃん、まさかと思うけど木下の好きだった子？ステージの上で告白して振られたあの超有名な！」
「……学園祭の時……？」
「そう！Aちゃんだったんだ！はじめまして！」
相葉くんが私の手を握ってブンブンと握手した。
「え？」
「わー、想像してた通りの子だ！」
「……」
「めちゃくちゃ可愛くて、特に泣いてる顔が本当に可愛くて、好きだと気づいた時はもう取り返しもつかないくらい嫌われてたって」
「……ほんとに知り合いなの？」
「うん。大川と元クラスメイト」
相葉くんがケロッとして言った。
「え、……やだ！」
「ごめんね、やだった？」
「やだよ……」
「でも許してあげて？木下あの後トラウマで恋愛恐怖症になったから」
「……え」
「だって小学生の頃からずっと好きだった子に高校で振られたんだよ！しかも、顔見て気持ち悪いって吐いちゃったとか……マジ？」
「……うん」
「そんな気持ち悪い？」
相葉くんが心配そうに聞く。
会社に向かって足を向けて、ゆっくり歩き出した。ついていく。
「毎日毎日、学校についたら机の上にセミの抜け殻とか虫が必ず置いてあるの……給食食べてても、Aクソ食ってるとか言ってきた」
「……うわ」
「消しゴムちぎって授業中投げられたり、ぶつかられたり足引っ掛けられたり髪引っ張られたり……スカートめくられたり……」
「それいじめじゃん」
「うん。なのに、あいつらはクラスの人気者でイケメンとか言われて、いじめられてる私を羨ましいっていう子もいた。いじめられる私が悪いんだって言われた」
「Aちゃん……」
「イケメンとか呼ばれて人気者の人を見ると拒否反応があるんだ、イケメンはそれだけで許される」
「美人もそうでしょ？」
「美人は性格悪いって言われてるよね？巨乳は馬鹿って言われるし」
「ほんとだ」
相葉くんが目を丸くした。
「だからイケメンが苦手で……特に二宮くん」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
