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「……本気……」
「……あの二人、本気なのかな……」
「いやだあああ」
「うわあああん！」
うちらの情緒不安定さと来たら頭おかしいレベル。
「見失うよ、行こ」
二宮くんが私の手を引っ張った。
「うん」
しくしく。
しくしくしくしく。
おてて繋いで尾行。
これ他の同期が見たら、確実にうちらのほうが浮気中。
「どこ行くと思う？」
二宮くんが悲しそうに言う。
「……いかがわしいホテル……とか？」
仕方なく答える。
「それなら浮気だよね……彼女といかがわしいホテルなんて行かないもん」
「行かないの？」
「行くの？」
「行かなくなった」
「行ってたのか……」
「今はもう彼氏の家だよね」
「安上がりだもんね」
「言い方気をつけなさいよ」
「大事に思ってるからね！これでいい？あ、まって？大事に思ってるなら浮気なんてしないか！なんつって！」
二宮くんが明るく言って、今度は私が歩道の真ん中でしゃがみこんだ。
「ほら！立って！」
「歩けない」
「見届けるんでしょ！」
「これ普通のデートなら今からご飯行って、そのまま家につれて帰るパターンでしょ」
「まあそうだろうね普通はね」
「どうせご飯食べに行くよ……」
「あ！二人駅に入ったよ！」
「手つないでる？」
「繋いでない、俺らは繋いでる」
「そんなこと言われなくてもわかります、手の感覚まで失ったら死んでます」
「でも死にそうだよね」
「うん」
二宮くんが手をぎゅ、と握りしめて私を引っ張って立たせてくれた。
「どうする？刑事みたいにアンパンと牛乳買って電信柱に隠れる？」
「うちらもご飯行こうよ、虚しいよ」
「だね」
また手を繋いで駅まで歩く。
前から営業の手越くんが現れた。
「おつかれーっす……ありゃりゃ？お二人そういう関係だったのー？」
「違うよ、これは介護なの！」
二宮くんが真顔で答えてる。
「介護……？どうしたの、Aさん」
なんで手越くんに名前で呼ばれてんだ？
殆どはじめましてなんだけど。
「気分悪い……吐きそう……手越くん……その鞄借りていい……？」
「ダメダメ！これはダメ！どうする？看病する？おれんち来る？すぐそこなんだけど」
「着いて行きそうな私がいる……」
二宮くんがため息を吐いた。
「じゃあ俺も行っていい？」
「ええ、二宮さんも？」
「嫌？ならもういいや。行こAばあさん」
「そうしましょうかおじいさん」
手越くんがアハハ！って笑いながらお疲れ様でしたーって消えてった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
