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「俺まさか自分の彼女にストーカーする日が来ると思わなかった」
「私も優奈ちゃんをこんなに気にしたの初めてだわ、視界に入れようとしてなかったから」
「そんなに？」
「だって……涼ちゃんに色目とか最初使ってたし……」
「じゃあやっと優奈の思いが通じたのか……」
二宮くんが悲しい声を出した。
「よしよし」
頭を撫でてあげた。
「ね、南さんと涼ちゃん、なんで付き合うことになったの？」
「たまたま偶然」
「たまたま偶然？」
のんびり歩く優奈ちゃんからつかず離れず、見失わない程度に距離を保って尾行しつつ。
「去年寿退社したミキ先輩が、私が新入社員のとき飲みに誘ってくれて」
「うん」
「そしたらあっちも先輩に誘われて同じ店にいた、たまたまどっちとも知り合いだったからこっち来なよ、みたいな感じになって」
「うん」
「帰り送ってもらった時に、今度二人で飲みに行こうよってことになった、そこで意気投合したんだよね」
「なんの話で？」
「好きな小説家が一緒だった」
「それさ、お前狙われてたんだよ。そんな簡単な方法なら俺もお前落とせたってことか」
二宮くんが前をじーっと見たままそう言った。
「……そんなわけないよ、だって、読んだ本とか……一緒で」
「お前の好きな小説家の話俺も聞いたことあるよ。新入社員の飲み会の時言ってたでしょ」
「……」
「付き合いだしたの、出会って何ヶ月後？」
「一年後くらい……？」
「一年なら余裕じゃん。俺なら3か月で話し合わせられるよ」
二宮くんがつまんなそうに言った。
「どうして……私だよ？そんな努力する必要ある？話合わせなくても付き合って！って言やーいいのに」
「言えないよ」
「どうして」
「笑い飛ばされそう、嘘でしょ？って。アハハ！って笑って悪いこと言わねーから他当たれよ、って言われそう」
「……」
「お前女の先輩とか女友達とか女の後輩とか、やたら女にモテるしなんか凄えもん」
「……女にモテてもね」
「俺も女だったら親友になれそうだったのに」
「……男でも親友になってよ……」
「なる？」
「なる」
二宮くんが嬉しそうに笑ったのを見て、わたしもちょっと笑う。
「二宮くんだっておんなの子顔負けの可愛さで男性上司全員たらしこんでるじゃん」
「……そう？」
「男の子の後輩とかだってすごい慕われてる、二宮先輩みたいになりたいって熱弁してる子いたよね」
「ああ、あれはネタでしょ」
「違うよ、恋してるみたいだった」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
