39 ページ39
「嫌でも顔見なきゃいけない日………」
「何？」
「ドライ過ぎてちょっと怖い」
「現実主義と言ってくれません？」
「でも涼ちゃんはそんなAが可愛くてたまんないみたいだったけど」
「彼氏の前ではドライじゃないよ！言っとくけど！」
「ん？」
「私が普段頑張ってる分、どんだけ甘えん坊だと思ってんだ！いつもこんな感じと思った？」
「……」
「……思ってたのね」
「……うん」
「まぁいいよ、私の彼女バージョン見る機会なんてないだろうからそのイメージでどうぞ」
二宮くんが苦笑してビールを飲み干した。
「涼ちゃんとAはほら、強いし、賢いし、カッコいいし、高スペック同士でお似合いだと思ってたけど……甘えん坊なのお前……？」
「……スペック？になんの意味が」
「……ああ、俺なんて普通の私大卒だしさ」
「ちょっといいかしら」
「ん？」
「日本で二番目に賢い大学出た奴後輩でいたでしょう」
「いたね」
「あの子の使えなさといったら気が遠くなりそうだった！」
「……」
「勉強しかしてこなかったから絶望的に世間知らず！俺、コピーとったり掃除したり雑用するためにこの会社に入ったわけじゃないって言ったよね」
「フフ、言ってた」
冷蔵庫からビールを出して二宮くんに渡す。
自分も2缶目。
「じゃあ何するためにこの会社に入ったの？って聞いたら、Aさんの仕事くらいなら多分できますって言った」
「そんなこと言ったの？」
「うん。社会に入ったらスペックなんてなんの役にも立たないのに。あの子はお客さんひとり一人に僕は〇〇大学法学部卒業です、お父さんは〇〇会社の役員で、って言って回る気なのかしら？」
「……」
「人に言われたことは出来ても自分からは何にもできない。教えてくれなかったからできなかった、教えてくれたらできてましたとか」
「うん」
「ねえ、二宮くん、本気でスペック関係あると思ってる？家事育児にスペック関係ある？どんな高スペックの子供でも赤ちゃんは夜泣きするよ」
「……まぁ、そうね」
「必要なのは、どう生きてきたかじゃない、どう生きて行くかよ？過去の栄光に囚われて今努力できなかったらスペックなんて足枷だわ」
「……」
「ごめん、またしゃべりすぎてる」
「……なんかね、Aって強いっていうか怖いんだよ俺」
「……怖い？」
「うん、若手の社長さんとかじゃないと釣り合わなさそう」
「そう見える？」
「見える。傷ついてぼろぼろでもやっぱり強い」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4412人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
