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信頼できる、同期で同僚。
キスまでした仲。友達以上。
だと思ったら少しはドキドキするべきなんだはろうけど、二宮くんにとって私は、私のせいで仕事辞めようかと思うほど憎まれてたってことで。
あのキスだってホントに事故なんだ。
事故事故！
大したことないんだ！
だから意識しなくていいし、なんならもうオッサン同士の付き合いでいいじゃないか。
「タバコ吸うなら換気扇の下でお願いしていいかな？」
「……」
「着替えてくる」
脱衣所でスーツを脱いで部屋着に着替える。
ついでにメイクも落としてやった。
なんかもうほんとどうでもいい。
「ビール飲む？つまみになるもの……よっちゃんイカと柿ピーくらいしかないや！食べる？」
「……うん……すっぴん……」
「すみません？なんかもう半分取れてたからもういいやって思って」
「……」
「ハイ乾杯」
「なんか機嫌悪くない？」
「浮気されて別れたくないって言われてふざけんなってキレて家でゆっくり泣こうと思ったら家の前に同僚、無下にもできず家に招く」
「……」
「これでご機嫌な人って頭おかしくない？」
「……」
二宮くんらしくない。
今日ぜんぜん二宮くんらしくない。
全然喋んないし。
「二宮くんは？優奈ちゃんから連絡なかったの？」
「あったよ」
「なんて？」
「やっぱりAちゃんなんだねって」
「何が？」
「その話しに来たんだけど」
「うん」
「もし、万が一……優奈とかその周りの人間から歪んだ形でお前の耳に入ったら、きっとAのことだから傷つくだろうなって」
「……うん」
二宮くんがハーッと、ため息を吐いた。
「遡ること新入社員の歓迎会の日」
「うん」
「俺らの周りは同じ部署になるミキ先輩とか当時主任の課長とか、あとは今はもう辞めた子とか異動になった奴が何人かいたでしょ」
「うん」
「好きな歌手とか小説とかテレビとか子供の頃好きだったアニメとか話したよね」
「したね」
「俺、その時気のない素振りで一生懸命聞いてたってこと、Aは気づいてた？」
「……知らない」
「……初めて会った時から、気になるというか……ちょっとだけ、他の人とは違って見えてた」
「……私だって……二宮くん見て可愛らしい人だなぁ、モテるだろうなあって思ってたよ」
「モテないよ。……Aはなんだろうね、人を惹き付けるような明るさというか、そういうのあるよね」
二宮くんがビールの缶をパシュ、と開けて缶のまま飲みはじめた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
