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食事を終えて、美味しかったね、満足ーって二宮くんと言い合って、また来まーす！ってお会計をした。
店を出て、当たり前みたいに二宮くんは私の手を繋いだ。
「ビール飲みたい」
「私も今思ってた！」
「買って帰ろうかな」
「そうしようー！ビール買って帰ろう」
「ヤケ酒……？」
はた、と見つめ合う。
「ヤベ、家に帰ろうとしてた」
二宮くんがプククって笑った。
「私も一瞬記憶喪失だった」
「あー……やなこと思い出した……」
二宮くんが目をごしごしこすってる。
「私もだよ……あああ、嫌だぁぁ」
「どうしよ、あの二人このあとどうなっちゃうのかな」
「涼ちゃんお持ち帰りしちゃうの？私みたいに？」
「Aお持ち帰りされたの？」
「うん」
「うわあああ、いやだああ」
「生々しく想像しちゃう、いやだあ」
二人でまたずーん、と落ち込んだ。
「ハンバーグ胃から出てきそう」
「勿体無いから我慢して」
「うん」
イタリアンバルの向いに常連しか絶対入らないだろうな、というカラオケができるような飲み屋さんがあって、その横は駐車場になってる。
飲み屋さんの影になってるからとりあえずそこで足を止めた。
「もう出たかな？」
「九時……少し前。待つ？」
「うーん」
「ちょっと様子見てくるね」
そろそろとお店に近づいて、ちらっと中を覗く。
奥の方に、涼ちゃんの背中が見えた。
くっついて話してる。
笑うみたいに動く肩。
ああ、やだ。
とぼとぼと二宮くんの元に戻る。
「いた？」
「……ん」
「どうした？」
「……見るたびに、ああ、ほんとなんだって毎回こう、突き落とされるというか」
「うん」
「心が削られていく感じ」
「うん」
「これから先、涼ちゃんの顔を見るたびに、優奈ちゃんのことも思い出すんだろうな」
「……」
「この目が、この手が、この唇が、って思いながら好きでいられないから別れる」
「うん」
二宮くんが痛くてたまらないみたいに私を見る。
「大好きだって思うたびに傷つくんだよ、酷いよね？こんなのもう、ただの拷問じゃん」
「そうだね。涼ちゃん、最悪だよ……」
「優奈ちゃんの笑顔に殺意抱く自分にも自己嫌悪だよ……」
「……」
「なに笑ってんの？とか、何澄まして歩いてんの？とかね、一々ムカつくだろうな、って想像できる」
「うん」
「人を好きになることと人を憎むことをイコールにしちゃいけないよ、自分を汚すことになる気がする」
二宮くんが苦笑いしてタバコに火をつけた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
