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「ちょちょちょ、ちょっと待って、嘘でしょ」
「俺、改装の図案取りに行くの忘れてお昼行っちゃったこと思い出して」
「そうだよ、私まさしくそれ取りに来たんだよ」
「そんで、奥から二番目のそこの倉庫、あれ、うっすら電気ついてるでしょ」
「うん」
「誰か密会とかしてるのかなあって思ってさ、脅かしてやろうかな、とか思って……」
「で？……まさか……驚かされたのはこっちだった、ってオチ？」
「そゆこと」
エレベーターから死角になる、非常階段のドアにもたれてる二宮くんの横に一緒にしゃがみこんだ。
「……涼ちゃんと？」
「涼ちゃんの声がした、はあ、ってため息みたいな吐息みたいな」
「……」
「優奈、って呼んでで、優奈のすすりなくような声が……」
「……うそだあ……」
「見に行く？」
「やだこわい」
「俺抱き合ってるとこチラっと見えて、ビックリして、そんでそおっと逃げた」
「嘘だ、そんなわけ……」
「嘘じゃない」
「まさか中でえっちなことを……」
「見に行く？」
「やだこわい」
二宮くんがハハ、って笑って、はぁーってため息を吐いた。
顔を洗うみたいに両手でゴシゴシしてる。
「うそだ……」
「見に行く？」
「行く」
「マジ？」
「二宮くんが嘘ついてるかもしれないし」
「なんで俺嘘つくのよ！なんのメリットがあんのよ！」
「例えば……私に対する嫌がらせを」
「お前がここに来ること俺が知ってるはずないでしょうが！馬鹿なの？」
「それもそうか」
「うー……俺もうやだよ……」
「……私、見に行ってみる」
「どうする？まさしくちょうど、涼ちゃんのアレが優奈のアレに」
「なんてこと言うのよ！」
「あーもうやだーやだよーやだー」
二宮くんが駄々っ子になってるけど構ってられない。
「私、見に行く……！」
「南さんは強いな」
「なんでこっちがコソコソせねばならんのだ！」
ちょっと大声が出た。
二宮くんが慌ててまた私の口を押さえた。
ひっくり返る！
「わ！」
押し倒された！なんだこれ！
「しーしー！出てきたよ！」
慌てて立って起こされて、引きずられて角に隠れる。
壁ドンみたいな感じで二宮くんの腕の間にすっぽりハマった。
なんだこれ！
「大丈夫？」
涼ちゃんの声だ!!!!
二宮くんの腕を剥ぎとってそおっと覗く。
涼ちゃんが優奈ちゃんの腰を抱いてるのを、見て、ふらりと眩暈がした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
