いつも君を見てる[A] (ページ9)

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カラコンの会社のサイトの冬バージョンに使えそう。
こういうパールとか……リボンとファーと……彼氏とデートにいつもより可愛い私を……

頭の中で構成とか考えて歩いて、このあたりで有名な、モデルの子なんかも来るという噂のヘアサロンの前に通りかかって、何となく中を覗く。

「……あれ？」

相葉さん？に見えるんだけど？
受付でお客さんのカルテを見てるのかな？真剣な顔。
お客さんの女の子が、うっとりとした表情で相葉さんを見つめてる。
その子がびっくりするくらい可愛くて、まじまじと見た。
あの子、いわゆる読モじゃない？見たことあるよ。

「あ、ほら、いるよ！」
女子大生の子とかが、多分読モの子の名前を言った。
ほらやっぱり、有名人。

相葉さんの指が、するり、と女の子の髪をなでた。
指が、前髪に触れて、サイドの髪をその子の耳にかけた。
耳に触れてる姿をみて、かあって顔が赤くなったのに気づく。
恋人同士をのぞき見したみたいな気分になった！

これ、まだ席についてないのにこんな感じってことは？

鏡越しで見つめ合って、顔上げて？って顎を持ち上げられて、至近距離で前髪切られて？
平気なの？この子。
私なら卒倒しちゃう。

だぼっとした白いシャツの袖を無造作にたくし上げて、腰のシザーケースの位置から、足の長さとか腰の細さとかが強調されてくらくらした。

朝の恰好と違う。
ああ、制服なのかな？

じゃあこちらへ、って感じで相葉さんが奥に促した。
切ってるところは見れないのかな、VIPルームとかもあるのかも。
なんか高そうなお店だし。
清潔感があってスタイリッシュで、……え。

お客さんをちらっと振り返ったとき、相葉さんが、ふ、っと外に目をやった。
横にいた子が、きゃあ、って言った。
え！ファンがいるの！
すごー。

見送って私も行こうとしたら、相葉さんと目が合った。

「あ」
相葉さんが目を丸くして、口がひし形みたいになった。
そのあとニカッ！って笑って、私に向かって、手を前に伸ばして、手首を動かして手を振った。

へ？私に！
横にいた子が、え？って感じに私を見た。

慌てて、逃げる。
逃げながら頭を下げて通り過ぎて、最後にちらっと振り返ったら、鏡に反射した相葉さんの顔から笑顔が剥がれ落ちた瞬間を見た。

え？何今の。

女子高生とお客さんから見えるのは背中。
ぎりぎり店が覗けるような角度で見た私しかきっと気づかなかった。

冷たい目をした相葉さん。