いつも君を見てる[A] (ページ40)

今日:15 hit、昨日:12 hit、合計:1,272,876 hit

39 ページ40

なんて言って電話を切ったのか、ちょっと記憶にないけど、私は気づいたら帰って日付が変わるまで電気もつけずにぼーっとしていた。

あの時々見せる冷めたような目。
ストーカーに対する異常な警戒。

櫻井さんも、このマンション、簡単に入り込めるんなら相葉さんはわざわざ引っ越してこない、とか、
髪に触るって話で、勘違いされる、とかなんだか面倒くさそうに言ってた。

あの面倒くさそうないい方とかも、相葉さんの面倒な事件に関係してるんだ。
しょっちゅう泊まりに来るとか言ってたのだって、もしかしたら心配で、ってことかもしれないし。

でも二宮さんなんて言ってた？

優しくされてその気になって？
『Aもその気になった？』って。

なるわよ、そりゃ。
当たり前だよ。

どうやって好きにならずにいれるというの。
あんなに素敵で優しくされて、
私のこと初めて見た時からドストライクって。

それと、なんて言ってた？
薄暗い部屋で、好きな子と二人きり。とか。
ストーカーされてるより危険なんだよ、とか。

あんなこと言われたらドキドキするよね？
その気になるよね？
優しくされてその気になって？

ああ、もしかして。
相葉さんって、遊び人というか。
みんなにこういう感じなのかも。
でも普通あのストーカーの事件がトラウマになってたとしたら女の子なんて面倒って思いそうなのに？

よくわかんない、相葉さんわけわかんない。

ノロノロと部屋の電気をつけた。
静寂が怖くてテレビをつけた。
息を潜めて携帯を見る。

10分たっても、メールは、来ない。
ずっと待ってるのも何だか嫌になってお風呂に入ってから、またメールを見た。

届いてる。
また知らないアドレス。

『今日一緒にいたのは誰？
浮気しちゃダメだよA
帰りも遅かったし心配したよ
今日はもう遅いからまた明日ね
おやすみ』

……何、この、彼氏みたいなメール。
また明日ね、とか、これ何？

慌てて相葉さんにラインの通話を押した。

「Aちゃん？メール来た？」
「来ました、まるで彼氏みたいな……相葉さんのことも見てたみたいで」
「……え？」
「今日一緒にいたのは誰？って……浮気しちゃダメだよA、って」
「……」
「相葉さん？」
「俺から見える範囲で怪しい奴はいない」

ああ、見てくれてるんだ。
「電気つけたらすぐ、ではなかったんです」
「……うん」
「しばらく後でした」
「じゃあ、もういないかも、ってことか」

相葉さんが、はぁ、と息を吐く。