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ドキン、ドキン。
これって。
ああ、でも待って。
この展開、出会ってすぐ過ぎない？
でも、酔ってるせいなのか、ついつい口が滑る。
「私も初めて会った時から素敵な人だなって思ってました」
「ほんと？」
「優しそうで……かっこいいし……お仕事してる姿も素敵で……」
「ふふ」
「またご飯、……今度は奢ります」
「ほんと？やったね」
ああ、素敵だなあ。
なんだか幸せ。
今日は変な視線も感じないし。
通過の電車が入ってきたとき、相葉さんが私の耳元に唇を寄せた。
「じゃあさ、付き合おっか？」
「え」
電車が通り過ぎる。
「え？まってください、それはあまりにも急というか……」
「しー」
相葉さんが人差し指を立てて、しーってやった。
ああ、そんな仕草も可愛い。かっこいい。セクシー、色々混ざってる。
「周りに人がいるから、返事はまた今度ね」
ああ、付き合ってるフリしてるんだった。
だから、もし後ろの人がストーカーだったら、そういう話聞かれるとまずいから？
「……はい」
こくこく、って頷く。
「可愛いなあ、Aちゃん」
「ええ」
「ぎゅー、したいなあ」
「えええ」
「照れてんの？」
「当たり前です！」
「……ね、彼女なのに敬語禁止ね、それと雅紀くん、でしょ？」
「雅紀くん」
「上手にできました！」
つないでる方の手をぐいって引っ張って、相葉さんの腰に私の手が回ったような体勢になった。
向き合った体勢で、相葉さんが私の頭をなでなで。
「髪ぼさぼさになっちゃう……」
「誰に言ってんのー？」
ううう、近い。
相葉さんの胸が目の前に。
アクセもおしゃれだ。
そのまま手のひらで私の頭をちょっと引き寄せて、頭のてっぺんに顎をコン、と乗せる。
「やっべ、かわいい」
「恥ずかしい……、あの、離れて……」
「抱き合ってないんだからセーフでしょ」
「セーフじゃないよ、アウトだよぅ」
見上げたら、相葉さんのキラキラの笑顔が私の目を直撃した。
「じゃあ、帰ってからね」
「……」
これは、ストーカーに見せるための？
それとも本気？
私の不安を、すぐに嗅ぎ取ったようで、相葉さんがふと眉を寄せた。
「あ、怖い？ごめんね」
「心臓壊れる……」
電車がやっときた。
相葉さんが私の手を引いて、電車に乗り込む。
よくいる、向き合って見つめ合うバカップル。
私たちあの状態になってる。
「帰りコンビニ寄らなきゃ」
「何買うの？」
「プリン」
「かわいー」
ああ、恥ずかしい。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年11月28日 8時
