いつも君を見てる[A] (ページ4)

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3(2016/12/16) ページ4

翌日、ゴミを捨ててから仕事に行こうとゴミ室に入ろうとしたら、ゴミ室の前に相葉さんが立ちすくんでいた。

「わ！おはようございます！」
「あ！Aさん！おはようございます！」
「どうしたんですか？」
「あー……引っ越してきた時、管理人さんにゴミのこと聞いたのに……わすれちゃって……説明を見てて……」

相葉さんが困ったみたいに頭をポリポリした。
今日はロングチェックシャツに黒い細身のパンツ。おしゃれさん。

「24時間いつでも捨てられますよ？回収は月木ですけど」
「いつでもいいんだ」
「だけど鍵がないとドラムに捨てられないしゴミ室から出れなくなっちゃう」
「うんうん。アルミ缶は？」
「ゴミ室の横に捨てるところがあります、プラはなるべく水曜に捨ててくださいって言われてます」
「へー」
「ここに書いてます」

ふむふむ。
真剣な顔で張り紙を見てる。
なんか可愛い人。

「ありがとう、助かったー、でも鍵がないからこれ捨てられないね」
相葉さんがちっちゃい袋を持ち上げた。

「一緒に捨てましょうか？」
「あ、いいの？」
相葉さんがふわぁ、って笑った。

「鍵持ってないって……部屋の鍵は開けっ放し？」
「あ、家に友達がいるからへーき」

お友達。
朝から一緒にいるということは彼女かな？
そう思いながら一緒にゴミドラムにゴミ放り込んで、へー！とかいちいち感心してる相葉さんを見上げる。

「じゃあ、私仕事に行きますのでこれで」
「あ！俺も仕事だー！」
相葉さんが慌ててバイバイ！って手を振って走って行った。

人懐っこいというか明るい人。

このマンションはセキュリティが少し高めのマンションで、そのため人との付き合いは浅い。
お隣のお姉さんも、朝、何回か会うことが続いてエレベーターで話しかけたのがきっかけ。

それまでお隣にどんな人が住んでるのかも知らなかった。

ファミリー向けのマンションならもう少し子供がきっかけでママのネットワークなんかもありそうだけど、ここは。

セキュリティが高めの分、人との関わりが少なく少し冷たい感じがする。
そんな中、相葉さんはコンクリートに咲くタンポポみたいな人だ。

少し心があったかくなるけど、ここにいちゃダメだよって言いたくなるような。
君はもっと仲間がたくさんいるような、土の香りがするところに咲くべきだ。

なんてね。
そんなことを思いながらマンションを一歩出て、……視線を感じた。

気のせい？

駅に向かって歩き出す。