いつも君を見てる[A] (ページ3)

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ガチャリ。
ドアの隙間から外を見る。
ドアガードは外さないまま。
警戒しすぎかなとも思ったけど、それくらいしてもおかしくないくらい、この世は物騒なこと、私はよく知ってる。

「わ！こんばんは！」
なんか驚いてる姿にちょっと可笑しくなった。

「こんばんは」
「あ、僕710号室に引っ越してきた相葉って言います、僕の家の前を通る方にはご挨拶しようかと思って！あの、これ！」

手のラッピングされた箱を見せてくれる。
変な人じゃなさそう。
逆だ。
かなりいい人っぽい。
何よりイケメン。

私の過去の経験上、こんな爽やかでモテそうなイケメンに変な人はいない！
私の持論だけど！

「……ちょっと待ってくださいね」

ドアガードを外して、ドアをちゃんと開けた。

「こんばんは！」
ニコニコニコニコ。

あ、多分いい人だ。

「僕、710号室に引っ越してきた、」
「相葉さんですね？」
「あ、そうです。三回目言うところだった！」
「あはは」
「以後お見知り……んと……」
「お見知りおき、ですね？」
「そう、それです！」
「こちらこそ宜しくおねがいします」

「……ん？Aちゃん？」
ちょうど、お隣の真梨子さんが帰ってきて、心からホッとした。
いい人そうでも緊張してたんだ私。

「あ、おかえりなさい」
「え？713号か715号さんですか？」
「人を人造人間みたいに」
真梨子さんがふわ、っと笑った。

「すみません！」
慌ててる。
可愛い人だ。

真梨子さんの方に向いた隙に、相葉さんを眺めてみた。

ざっくりしたダークブラウンのニットと、ダボッとした可愛いデニム。
身長は175センチくらいかな？
細身でスタイル抜群。
それとなんかいい香りがする。

「今行こうと思ってたんです！これ！」
「ん？」
「710号室に引っ越してきた相葉といいます！」
「ああ、宜しくおねがいします」
「711号さんと715号さんは……」
「ああ、711は……」

そういいながら、真梨子さんと並んで歩きはじめた。
じゃあ、私はこれで……と家に入ろうとしたら、相葉さんがくるりと振り返って私を見て、
「じゃあね、Aさん！」

と言った。
なんで名前？
ああそっか、真梨子さんが、Aちゃん？って声をかけたから？

頭を少し下げて部屋に入る。
とりあえず、いい人そうで安心した。

住んでるところを知られるというのは、小さな恐怖だ。
ひとり暮らしなら余計。

二宮先輩には、報告しとこうかな。
そう思ったらちょっと楽しい気分になった。