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「あ、すみません、イメチェンしたくて、そういうわけで、なんか、ちょっと、雰囲気変えたいと……えっと」
しどろもどろ。
櫻井さんが、複雑な形に眉を八の字にして、上目遣いで私達を見ながらニヤニヤ笑ってる。グラス齧ってる。
ああ、恥ずかしい。
「そうだね、髪型変えると雰囲気も変わるし、気持ちも上がるしね？」
相葉さんが、特に変な風に受け取らなかったみたいでホッとした。
相葉さんが腕をすっと伸ばして、人差し指と中指私の髪をするりと梳いた。
髪に神経などないのに、ぞわりと腰から電気が走った。
「傷んでるのは毛先だけだね」
くるん、と指で私の髪を巻いて、ふわり、と手を離して、また頭のてっぺんからするりと手櫛で髪を梳く。
「柔らかい……けど癖はなくて素直」
「口説いてるみたい」
櫻井さんがぽつり、と呟いて相葉さんが、あ！って言って慌てた。
「つい！」
「……」
「職業病！ごめん！セクハラだよね！」
「いえ！職業知ってるので嫌な気はしません！」
「あー、ごめん！ついつい！」
慌ててる相葉さんが可愛い。
「可愛い子の髪を仕事のせいにして触れる相葉くんいいな」
櫻井さんがムスッとした。
「仕事モードになったら触っちゃうだけだってば……」
「仕事だとそうでもない子も触らなきゃいけないのか、勘違いされそう……」
櫻井さんがなんか急にめんどくさそうな顔をした。
相葉さんが苦笑いした。まただ。
「ファンの子、みたいなの、店の外にいましたね……モテモテ……」
「あんなのモテてるとはいわないよ」
「……」
「俺の何を知ってるって言うんだろうね？」
相葉さんが、あぐらをかいた膝に頬杖をついて視線をストンと下に落とした。
「……」
「闇雲に追いかけても逃げるだけってことどうしてわかんないんだろうね？」
「……」
「ほんとに欲しいなら、ちゃんと向こうから来てもらえるように努力するべきだよね」
「ホントそうだよな」
櫻井さんがため息を吐いた。
「あなたのところでお願いしたい、ってお客さんに言って貰えるものをこちらが提示すべきなんだよ」
あ、仕事の話になった。
「おねがいしますおねがいします！って何百回もいう暇あるなら一枚の魅力的な企画書持って来いって話だよね」
「……あとは……罠を仕掛けるとかね」
罠？
思わず相葉さんの顔を見上げる。
相葉さんが私をじっと見つめる。
「犯人捕まえる？」
ああ、そういう意味？
ドキッとした。
笑ってるのに怖い目。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年11月28日 8時
