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「え？知らないの？」
櫻井さんが目を丸くした。
「聞いてない……反省したって……妹も、元カレだったから……おおごとにしなかった……というか」
「元カレ。一番面倒なやつじゃん。あいつはそこまでしない、って逆に過信して事件になるやつ。で、妹は？一緒に住んでるの？ここ、広いけど一人暮らし用のマンションだよね」
「妹は、新潟の実家に家族と引っ越して……」
私の言葉に相葉さんと櫻井さんが目を合わせた。
「妹の行方探して、お姉さんのAちゃんを追いかけてきたって可能性は？」
相葉さんの真剣な目に息を飲む。
「……」
「その可能性もあるよね、大いに」
櫻井さんが、そう言ってはあ、ってため息を吐いた。
「調べてみます……」
「うん。その過去があれば、警察もメアドがどこのものか調べてくれるかもしれないよね」
櫻井さんが言って、ほっとした。
「そうですね！」
「で、それだけじゃないでしょ、ここに来たの。家にいるのがこわかった？」
相葉さんが、そういった。
「帰ってきたのがわかったのって、もしかして盗聴器とか……」
「ああ、なるほどね」
櫻井さんが頷いた。
「でもね、Aちゃん、落ち着いて考えて？この家ってさ、盗聴とかできると思う？」
「え？」
「ここ、セキュリティー結構高いよ？」
相葉さんが微笑んだ。
「今日の翔ちゃんみたく家の前まではこれたとしても、部屋には入れないよ絶対」
「……」
「まず、ディンプルキー。これ、合鍵つくるのに、色々身分証とか誓約書とか書かされる、面倒な仕組みでしょ、高いし」
「はい」
「新聞入れるポストもないから外部から何かを入れることができないし、ここ七階だし窓とかベランダから侵入できる高さじゃない」
「はい」
「あと管理人さんも朝10時から８時まで窓口にいるじゃん、防犯カメラもいっぱいついてるしこの階に怪しい奴いたらわかるよ」
「……そう、ですね……ちょっと気が動転しちゃって」
「そうだよ、簡単に入り込めるなら相葉くんもわざわざここに引っ越して来な……」
櫻井さんが、そう言って、あ、って顔をした。
「……え」
相葉さんが片方の唇だけ釣り上げるような、苦笑いをした。
「だから、大丈夫だよ」
「……」
「……落ち着くまでここに居なよ、翔ちゃんと同業者なら、話も合うだろうし……」
「それなら相葉さんと話したい」
相葉さんが、俺？ってびっくりした顔をした。
私、何てことを言っちゃったの！
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年11月28日 8時
