いつも君を見てる[A] (ページ16)

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やだ。
気持ち悪い。

やだ。

慌ててメッセージを送ってきた知らない人をブロックした。
ナニコレ。
ナニコレ。

やだ。

どうして帰ってきたことに気づいたの？
どうして？

怖い。
怖い。

二宮さん！
そうだ、二宮さんに家に来てもらおう。

電話をかけても、つながらない。
どうしよう。

ああ、そっか、ご飯行ってるんだった。
気づかないかもしれないし、私の電話なんて、どうせ仕事のことだからしーらない、って無視されるかもしれない。

菅田くんは今日もデートだし、親友のきーちゃんは半年前出産したばかりでそんな余裕なんてない。第一車で30分かかるし。

どうしよう。

真梨子さんにたよってみようか。
でも。

……ちょっと待って？

……盗聴器とか、仕掛けられてたら、どうしよう。

体がガタガタ、と震えてきて、涙がじわあ、ってこみあげてきた。
怖い。
こわいよ。

警察？
でも、おかえり、って言われたくらいで警察なんて動いてくれない。警察は、事件にならないと動けないって言うんだ。

とりあえず、真梨子さんに。

外に飛び出して、真梨子さんの家のチャイムを押してみた。
……いない。

どうしよう。

どうしよう。

ふと、さっきの相葉さんの、『何かあったら、いつでもピンポン押してくれていいからね』って言葉が胸をよぎった。

頼っていいのかな。
男の人一人暮らしのところにピンポンするのは抵抗あるけど、幼馴染の人も一緒にいたし、大丈夫よね、二人とも明るくて、変な人じゃなさそうだった。

思い切って、710号室のチャイムを押してみた。

「はい」
「あの、712号室の……新崎です」
「……Aさん？」
「……はい、あの……」

ガチャ！
すごい勢いでドアが開いて相葉さんが顔をだした。
その後ろからまたすっごい笑顔の幼馴染さんが覗いてくる。

「どうしたの？」
「どうしたどうした！」
「具合悪い？」
「看病する？」

ああ、どうしよう、こんな時なのに幼馴染さんが全力でふざけてる。

「あの……」
「どうしたの？」

相葉さんの声のトーンが、変わった。
幼馴染さんも涙目の私を見て、黙り込んだ。

「……どうしたら……」
「……え？」

相葉さんが目を丸くして、後ろを振り返った。
幼馴染さんが、入ってもらったら？って、言った。

「私、あの……ご迷惑……ああ、どうしよう……この程度で警察呼んでも……どうにもならないから……」
「入って」

相葉さんが、私の手をぐっと引き寄せた。