いつも君を見てる[A] (ページ13)

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そこから、私はコンビニでプリンさんから、Aさんに格上げして、桐山くんなんて、私の顔を見たら、
「お、お姉さん、今日も活きのいいプリン入ってますよ！」
みたいな軽口をかわすまでになった。

大野くんは相変わらず。
「らっしゃ……せー」
って眠そうにフライを揚げたり、品出ししたり、本を片付けたり掃除したり。
殆ど毎日いる。

「こんばんは」
「……んあ？……あは、Aさん、プリンね、待ってて」
は、ってめんどくさそうにバックルームに取りに行く。
まとめて買って冷蔵庫にいれとこうかとも考えたけど、毎日お取り置きしてくれてるから、来週から三日は休みますね、とかも言えず。

プリンを買って家に帰る道。
コンビニから少しだけちょっと暗い道があって、早歩きで歩いてたら、後ろから足音がした。
いつもは気にならないけど、走ってくるような気配だったから振り返る。

ぴたり。
その影が角を曲がったような気配がした。

気のせいか。
また歩きだしたら、スタスタスタ、と足音。
もう一度振り返る。

……だれも、いない。
……違う。

物陰から、誰かが私を窺ってる、気がする。

背中に嫌な汗がつうっと流れた。
……走ろう。

走り出したら、後ろの足音もスピードを上げた。
怖い。怖い。怖い！
マンションの方に行かずに曲がって、点滅して赤に変わる寸前の信号を渡る。

信号を渡ってから振り返ると、その影は、くるりと後ろを向いて、反対側に走り出した。
男だ。
男、だと思う。

170センチ以上あった。
黒っぽい恰好とマスク。
それしかわかんなかった。

周りをよく観察してから、信号をまたわたって、マンションに向かう。
こわかった。
やだ。
誰？

マンションのゲートを入ろうとしたら、後ろから、たたた、と走る音がした。
びくっとして、振り返る。
「……あ！」

相手が声を上げた。
「はい……」
「Aさんだ！久しぶりだね！」

相葉さんがお日様みたいに笑って、ちょっと力が抜けた。

「こんばんは」
「……はあ、は、こんばんは」
「……走ってきたんですか？」
「ああ、うん。友達がうちに来てるからって連絡あって……部屋の前に待ってるからって」
「……どうやってマンションに入ったんですか？」
「なんかマンションの住人の後ろついて入ったらしいよ」

そういいながら、相葉さんがエレベーターをぽん、と押した。
はあ、はあ、って息が上がってる。

ポケットから、マスクが見えた。